それの目的
だが、その時、
「んん……」
と微かに声を上げ、来埋亜純は寝返りを打った。すると、にゅむの触手が鼻の穴に届いてしまった。自分から近付く形になったのだ。
これ幸いと、にゅむの触手は次々と来埋亜純の鼻の穴へと侵入していく。
普通ならここで、くしゃみなどの、異物の侵入を防ごうとする反射が起こるはずなのだが、ぞるぞると触手が侵入しているにも拘らず来埋亜純はまるで気付くこともなく規則的な寝息を立てていた。
おそらく、触手の表面から麻酔効果のある成分が出ていて、局所的に麻痺させているのだろう。
やがて触手は明らかに鼻の奥のそのまた奥に届くほどに侵入していた。
<鼻の奥のそのまた奥>とは、喉ではなかった。その逆だ。<脳>の方に触手の先端は侵入したのである。
すると、来埋亜純がゆっくりと手を動かした。完全に寝ぼけたまま体を動かしている時のそれだった。
それでいて明らかに意図を持ってベッドの枕元へと手を伸ばし、にゅむが入っている飼育ケースの持ち手を掴んだ。
にゅむが来埋亜純の体を操っているのだ。
そして自身が入った飼育ケースを来埋亜純に抱きかかえさせる。寝ている状態で、腹の上に置かせて。
これでもう、本当の狙いに届くようになった。
鼻の穴から脳へと至った触手は残しつつ、他は来埋亜純の下半身に向けて伸びていく。
まあ、ここまで言えば察しが付くだろう。にゅむの触手は来埋亜純の膣を目指しているのだと。
で、想像通り、一部の触手はパジャマのズボンに阻まれながらも、また一部のそれは腹を伝ってズボンの中に潜り込み、さらにショーツの脇から来埋亜純の膣へと遂に到達した。
そしてさらに奥へと侵入していく。
ここでエロいマンガとかであれば来埋亜純の体がピクピクと反応し、頬を上気させ息が荒くなり艶っぽい吐息を漏らすような展開になるのだろうが、鼻の穴に侵入した時と同じように、表面上は何の反応もなかった。麻酔が効いている状態なのだろう。
だから期待した絵面にはならなかったかもしれないが、にゅむにしてみれば人間にサービスしてやる理由もないので、淡々と目的を果たすだけだな。
人間の雌の子宮内に自身の卵を産み付け繁殖するという。
侵入した触手の先から卵が排出され、次々と子宮内膜へと植え付けられていく。触手は産卵管ではなく、先端の一部がチューブ状になっておりそこに保持されていただけだ。
役割としては産卵管に近いだろうがな。
などということはさて置き、最終的に百個以上の卵を子宮内に植え付けられても、来埋亜純はまるで気付くことなく、深い眠りについていたのだった。
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