世界を壊す力

人間は、自分の感覚と合わないことがあるとすぐにキレてぎゃーぎゃー騒ぎ出す。やれ演出がどうだ展開がこうだこいつは助けたのになんであいつは助けないんだとかな。


そんなに自分の思い通りにならないのが気に入らんのか?


それでこの世界でよく生きてられるな?


いや、そういう奴らが事件を起こすのか。


『こんな世界はぶっ壊してやる!』


とか言ってな。


だが、それで何を得た? ちっぽけな充足感か? 万能感か? 


本っ当にくだらんな。


私達に人間の感覚など何の意味もないとなぜ理解できんかな。


私達は身勝手で理不尽で不条理なのだ。そういう存在なのだ。気まぐれを起こすかどうかなぞ、気分次第。


もっとも、人間の目から見れば助けたように見えることも、


『この玩具おもちゃはまだ捨てるには惜しい』


程度の話でしかないがな。


そもそも、私などは特に、これまで無数の命を弄び消し去ってきたのだ。人間の法に倣えば死刑など何回食らえばいい? 懲役何億年が順当だ?


まあ、台風や地震に手錠をかけて裁判に出廷させられるものならやってみせてもらいたいものだよ。


故に、人間の法の範疇を超えた月城こよみや赤島出姫織あかしまできおりも、そして貴志騨一成きしだかずしげも、もはや人間の法や価値観では括れない存在なのだ。


とは言え、本人がなるべく人間の範囲に収まりたいと言うのならそれはそれで好きにすればいいだろう。


そんなことは無駄な努力に過ぎんが。


ただの自己満足だな。


さりとて、自己満足が最優先なのは私も同じ。ならば私としては『好きにすればいい』と言うしかないのだ。


もちろん、私も好きにさせてもらう。それで人間共がどれほど苦しもうが悲しもうが知ったことではないわ。


むしろそれが楽しい時もあるしな。


が、


『こんな世界はぶっ壊してやる!』


貧弱な人間がどれほどそんなことをほざこうとも、かつてその調子で虐殺を行った奴も、世界の全てをぶっ壊すことはできんかったよなあ?


凶悪犯と言われる奴も、どれだけのことをやってみせた?


一人や二人巻き添えにできたところで何だというのだ。負け犬にも劣るゴミ風情が。


人間なぞその程度だといい加減に自覚したらどうだ?


その上で己に掴める程度の幸せを噛み締めて生きた方が面白いとは思わんか?


一人じゃ世界を壊す力もないんだからな。


『核ミサイルを発射できたら世界を滅ぼせる?』


笑わせるな。その核ミサイルを自分一人で作れると言うのか? その時点でもうすでに『一人の力』ではないだろうが。


核ミサイルを作ってくれる他人の力を当てにしておいてイキがるでないわ。


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