第四話「海」

 俗に言えばビーチである。多種多様な水着を着た男女その他諸々が海に入ったり体を焼いたり、それこそ自分のしたいようにしていた。

 「よっしゃー!着替えるぞー!」

 高井さんが鳥海さんと小向さんをひっぱり海の家に入っていった。

「よし、俺らも行くぞ。」

杉原は怪しげな笑みを浮かべると海の家に入っていった。

 適当に着替えを済まし杉原のところに行くと、杉原はなんとかして覗こうと、すごいがんばっている。がんばっているがまったく覗けそうにない。

 村田はといえばわくわくしながら待っている。

 僕は別にそんなに水着に興味があるわけでもないので普通に待っている。


 女子三人が水着を着て出てきた。小向さんと高井さんはとても堂々としているが、鳥海さんはかなり抵抗している。鳥海さんを引っ張る二人がとてもほほえましい。胸囲格差とはこうも悲しいものであるか、差が…。

 なんだかんだ無い胸(無慈悲)を抑えながらでてきた鳥海さんだが、他二人とは違いフリルのついたものである。マシだと思ったのだろうか。

 他は堂々と体のラインが出る水着を着ている。

「鳥海さん、やばいな、めっちゃ、その、小さいな。」

杉原が小声で話しかけてきた。

「やめてあげるんだ、かわいそうだろ!!!きっと触ればやわらかいんだよ!!!」

「触るてお前…。」

おいやめろ、そういう冷ややかな目を向けるんじゃない…ッ!

 ちなみに、ほんのすこしやわらかかったような気がする。


 ぼーっと海で遊ぶ女子たちを眺めていると、杉原が

「あー、俺もあの中に混ざりてぇよ。ラッキースケベとかねぇかなぁ。」

なんていい出した。

「いいよなあ!村田!お前はいつてもスケベできんだからよ!」

こいつなんか言い始めたぞ。

「あいつがそんなことするキャラだと思うならお前は人を見る目がねぇよ。」

「いやいや、案外むっつりかもしれないじゃねぇか。」

いや、なんちゅう偏見だよ。いやでも、案外ありえるのかもしれない。

「なあ八野、お前もそう思うだろ?」

なんでそこで僕に振るんだ馬鹿。

「知らんがな。てかお前それ以外に水着の女子を見て思うことはねぇのかよ。」

「そうだなぁ、ねぇなあ。」

「こいつ根っから腐ってやがる。」

ご尤もだよ、村田。

「そういうお前だってさっきっから桃香のことチラチラみてんじゃねぇか。さりげなく一番でかいしな。」

「そこはどうでもいいだろ。」

思わず本音が。

「どうでもいいっておめぇなあ、重要な要素だろうがおっぱいは。」

「恥じらいもなく言うんじゃねぇ。」

「どうでもいいけど、やっぱり村田お前、そういうことしてんのか?」

「してないわ!!!」

してそうには見えないな。

「そういう杉原、てめぇはなんか恋愛的なのねぇのかよ。」

「悲しいくらいに無い!」

そりゃまあ、そんなことずっと言ってればな。

「おーい!さんにーん!こっちきて一緒におよごうよー!」

鳥海さんが叫んでいる。

「だとよ、ラッキースケベ期待していくか。」

「だからお前、重要なの絶対そこじゃねぇから。」

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