純粋理性のアンチノミー(二律背反)

ドイツの哲学者カントは『純粋理性批判』の中で、人間の理性はどんな問題でも必ず扱える程万能ではなく一定の制約・限界は持っているはずだと論じた。

 そして、人間の理性によって原理的に答えを出せないような問題の一例として、純粋理性のアンチノミーという四つの命題を示した。



①世界は時間的、空間的に有限である/世界は無限である


②世界はすべて単純な要素から構成されている/世界に単純な構成要素はない


③世界のなかには自由が働く余地がある/世界に自由はなくすべてが必然である


④世界の原因の系列をたどると絶対的な必然者に至る/系列のすべては偶然の産物で、世界に絶対的必然者は存在しない


 アンチノミー(二律背反)とは、ある命題とその否定(アンチテーゼ)が同時に成立してしまうような場合を言う。

 つまり「Aである」と「Aでない」が同時に成り立つような特殊な場合である。

 

 四つの命題の組はそのどちらを正しいとしても矛盾が生じる。

 その理由から理性によって結論付けることは不可能であり議論しても仕方のない問題だとカントは論じたのである。


※①〜④それぞれについての簡単な補足


①時間に始まりはあるのか、空間に果てはあるのか、という問題である。


②原子や素粒子といったこれ以上分割できない最小の構成要素があるかどうかの問題である。


③自由意志と決定論の問題である。


④世界の第一原因と神の存在の問題である。


さて、ここでみなさんに質問です。

カントは①〜④それぞれについて、答えが出せない問題と言っています。



あなたはこれら①〜④の問題それぞれに対してもれなく答えを出すことができると思いますか?


答えを出すことが出来ると思われる場合は

その理由もお願いします。


カントと同じように答えが出せないと思う場合は、

その※理由 もお願いします。


※論理的客観的観点から問題の有効性に対してできるのであれば

『〜という理由により、これは擬似問題である』という言葉を使っても大丈夫です。



また、カントがあげた①〜④以外にも、

アンチノミー(二律背反)と言えそうなケースをあなたは思いつきますか?


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る