第39話・二日目の登校
高山は長谷寺を腕から降ろすと、彼に風呂敷包みを渡して髪留めにキスを一つ落とし、さっさとその場を後にした。
着替えの最中だった透は、突然開いたドアの向こうに、ずいぶん髪の量が増えている長谷寺が視界に飛び込んできたのと同時に、半歩だけ後ずさる。昨夜までは、即顔を赤くするほどの暴力的な魅力にやられていた彼だったが、今回は少しマシになっている事に気づいた。髪留めに込められた術式のおかげなのだが、透は勿論のこと長谷寺自身もその事は知らなかった。アルファベットで小箱の
「それ、[紫陽花と日常生活を過ごせるようになる]指輪が入ってるんだって!絶対につけてね!」
「あ、はい」
「じゃ!こっちは迅ちゃんの分!学校いくねーっ!」
「あ、いってら…って、
シャツを羽織っただけの格好である透の手に、迅の分の指輪が入っている小箱も置いて、嵐のように走り去っていく長谷寺。その勢いを殺すことなくカウンターの上にある国語辞典を手にして、店のドアを閉めたばかりの迅に[いってきます!]と元気な挨拶を投げ、閉まったばかりのドアをバーンッと蹴り開けると、着任二日目にして遅刻はすまいと物凄いスピードで走っていく。驚きながらも何を心配する事も無かったと安心しつつ、迅は二階へ上がっていった。そこで透と鉢合わせ、弟からの説明を受けて納得すると、指輪を
一方の長谷寺は、始業の時間まではまだ三十分以上あることに気づかないまま、急いでいた。その様子を目にした3Dの生徒の一人、
「長谷寺さん、そんなに急いでどうしたんですか?」
「えっ!だって時間がっ…あれ?一政くんだっ!おはよーっ」
「おはようございます、時間、まだかなりありますよ」
幸嶋にそう言われ、今日はじめてポケットから懐中時計を取り出し時間の確認をする。確かに彼の言う通り、だいぶ早い。五年ぶりに隣合って歩く二人、主に長谷寺の様子を、昨日と同様に今日も暗黒街からコッソリと見に来た者達が目を皿のようにして
そんな風に
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