第22話 『革命』 その3
ぼくたちがバック・ヤードに逃げ込んだ後、中央警察は自爆のあったお店を中心に捜索を続けていました。
しかし、ぼくたちは、一気に10階上の売り場に移動した訳です。
ところが、事態は急激に進行しておりました。
上の売り場にエレベーターが着いて、扉が開いたとたんに、大勢の人が乗りこもうと殺到してきたのです。
キューさんが力づくで道を開き、ぼくたちは無理やり降りました。
そこには、まだかなりの人たちが逃げまどっていたのです。
「なんか、すっごくやな雰囲気だねぇ~!」
お嬢が言いました。
「なんか起こってるぞなもし。」
スワンが低くうめくように言いました。
ぶわんと、おかしな匂いが漂ってきます。
エレベーター・ルームの仕切りから向こうを覗くと、中央警察のロボットたちが10体ばかり走り去って行くのが見えました。
ここでは、手に大きな銃を握っています。
91階では、持ってはいたのでしょうけど、たぶんまだ、身体に隠していました。
「ここも、さっき爆発があったね。少し時間差で、どうやら各階で爆発事件が起こってるね。91階が発端で、上と下に順番で広がったようね。情報が飛び交ってるけれど、混乱してる。」
「革命だよ!」
お嬢が小さく叫びました。
「はあ?」
スワンには、どうやら、まだ、ぴん、ときていませんでした。
「さっきのロボットがそう叫んでたじゃない。」
「ううん、そうね。これは明らかに計画的に実行されたね。どこかの組織が大きく動いたね。共同してるかもね。」
キューさんが言います。
「うちは、そんなこと言ってなかったなあ。」
お嬢が答えました。
「そうね。じゃあ、『難民連合』じゃないね。きっと。」
「副店長さんも、なにかやるならぼくらに言う、みたいなこと言ってたなあ。」
これは、ぼくです。
「うん。そうね。いま、情報を整理してるね。錯綜していて、少し時間が掛かりそうね。やはり、まずは、裏に退避した方がいいかもね。」
ぼくたちは、バックヤードに向かって、慎重に移動し始めました。
人の動きは、急激に少なくなりました。
おおかた、どこかに逃げ込んだか、捕まったかしたのでしょうか。
そのとき、どこからか、『びゅわ~ん』と、ぼくたちに向かって銃撃がありました。
『衝撃銃』というものです。
エネルギーの固まりが飛んできます。
「そこに入って!」
キューさんが、ぼくたちをすぐ横のお店の中に突っ込みました。
そうして、なんとキューさんが銃撃戦を始めたのです。
キューさんの右手は、機関銃のようになっていました。
漫画みたいだったのです。
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