第20話 『革命』 その1

 時間なんて、直ぐに経つものです。


 10年だって、相当に長いようでも、結局はほとんど瞬間のできごとのような感じになります。


 人間の苦しみをよそに、時間はただ進むのです。


 まあ、しかし、だから一晩なんて、アッと言う間に移り行くのです。


 キューさんは、指定されたとおぼしきお店の友人に、危険情報を伝えました。


 なんでも・・・


「彼は、この世界に10体未満しかいない、同じ型のロボットなのね。まあ、兄弟みたいなものだから。」


 だ、そうなのです。


 しかし、ぼくは、このことが持つい深い意味と言うものは、まったく考えていませんでした。


 キューさんたちは、うまく正体を隠していたのです。


 時は来ました。


 ぼくたち4人は、分散して見守っていました。


 真夜中にしては、お客様もかなりいます。


 夜、眠れない人間は、決して少なくないのです。


 店内に入る人たちを、キューさんは綿密にチェックしていました。


 そうして、午前1時が来たのです。


 ぼくたちは、でも、少し勘違いをしていました。


 中央のレジのあたりにいた、女性の店員が叫びました。


『革命万歳! 『神様』に栄光あれ!』


 爆発が起こりました。


 爆風が突き抜け、商品が空を飛びました。


 あたりは、大混乱に陥りました。


 あたりの人々は、ちりじりなって、逃げまどいました。


「大丈夫ですか?」

 

 キューさんが近寄ってきました。


 ぼくたち4人は、お店の表側にいたおかげで、直撃は免れてれていました。


「バックヤードに一旦退避しましょう。警察本部が来る。あまり歓迎したくないでしょう?」


「あたりまえさね、あいつら、大嫌いさ。それに、こっちの役目は、『神様』を探すことだからね。テロじゃないさね。」


 お嬢が言いました。


「じゃあ、こっちへ。」


 ぼくたちは、裏側の組合事務所に向かって避難しました。


「お友達は?」

 

 逃げながら、ぼくはキューさんに尋ねました。


「大丈夫。ちゃんと通信はできてるね。無事だった。情報はちゃんと、もらうね。」


「なんか、危ない立場に置かれそうな気がするなあ。」


「はいー。もしかしたら、手配されるかもね。」


「そりゃあ、面白くない。」


「やなこったねぇ。いい迷惑だね。」


 お嬢が、如何にも嫌そうに、軽くうめいたのです。


「まあね。あ、もう警官たちが来た。救急隊も来たね。けが人は5人。死者はいないね。重傷者はふたり。あとは軽傷。まあ、最悪ではなくて、よかったね。」


「確かに。」


「爆発した人は、ロボットだったみたいね。」


「そりゃあ、何か、変だぞなもし。」


 スワンが言いました。


「なんで、ロボットなんだな、もし?」


「反体制派のロボット集団かもしれないですね。このモールの中にも、秘密組織があるとか、聞いたことがあるね。確認は、出来ていない、けどもね。」


「世の中は、秘密組織だらけですか。」


「まあ、そうね。」


「俺らの組織にも、確認しようぞな。」


「ああ、あとでやろう、こいつら邪魔だから。」


 まったく、人間もロボットも、組織が好きなところは、似通っているようです。





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