第244話 【喧嘩? じゃれあい?】李儒(理樹)と内気な姫殿下(2)

「うぐっ、ぐぐっ。董卓! 貴女の方こそ。わらわの髪を握り、引っ張る行為を今直ぐやめなさい。今直ぐに」と。


 弁姫殿下が董卓閣下の腕を、唸り声を漏らし噛み続けながら、自身の黄金色に、艶やか輝く髪を強く握り引っ張るなと告げる行為を二人は──。


 そう、漢帝国の魔王さまと女神さまは、自分達の瞳を濡らし、涙目、悲痛な呻り声を漏らしながら。


 喧嘩! じゃれあいなのか良くわからない、荒々しい行為を、自身の主である李儒(理樹)に双方が見せるものだから。


「閣下、姫さま……」と。


 李儒(理樹)は大変に心配……でも、困った声音で、二人へと声をかける。


 ……だけではない。


「閣下、姫さま。二人とも怪我でもしたら大変だから。そろそろ喧嘩はやめた方がいいのでは? ……ではなくて。もういい加減にやめてよ! お願いだから! 閣下! 姫さま!」


 李儒(理樹)は最初困り顔、声音で二人へと喧嘩をやめるようにと嘆願。


 でも最後には、二人の主らしい様子を見せ、荒々しく諫める。


 しかし李儒(理樹)の魔王さまと女神さまは、お互いが頑固一徹となり、一人のアダムの奪いをおこなっている最中だから。


 自分達二人の意地の張り合いを制御、止める者がいくら二人の主さまであろうと。


 二人は未だお互いが納得をできていないので。


「煩い! 黙れ! 婿殿! お主は、とっとと、あの化け物を処理破壊しろ! 分ったなぁ、婿殿? これはあくまで儂と弁との個人的な問題だ!」と。


 李儒(理樹)の魔王さまが、相変わらず顰め面……。


 痛みと苦痛で強張った顔のままで、李儒(理樹)へと不満と下知を飛ばせば。


「痛、痛たた……。あなた、董卓の言う通りです。先程もわらわがあなたに告げた通りで、あの物。あの化け物を倒し。二人の敵! 弔いをしなさい! あなた! わかりましたかぁ? ……これは、この件は、わらわと董卓二人の、女同士の問題……。わらわ達の主である、あなたには関係がない事。だから黙っていなさい、あなた……」


 李儒(理樹)に対して魔王な董卓閣下に続いて、女神な弁姫殿下も不満を漏らしてきた。


 主、夫は妃達のこと。


 奥の、後宮の件に口を挟むなとね。


 だからと李儒(理樹)は『トホホ』と、落胆……。


 自身の肩を落とすのだった。



 ◇◇◇


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