第237話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【反撃】(8)
今迄片足すら地面につける。屈することもできなかった埴輪の巨人兵が。
〈ドーン!〉と。
地面に大きな音を立て──。
〈グラグラ〉と。
地鳴りと地揺れを引き起こしながら尻餅をついてみせたのだ。
先程からこの場にいた七人の目の前、先でね。
だから李儒(理樹)と夏候惇……。
まさか居るとは思わなかった二人、弁姫殿下と華雄将軍達四人の護衛、守り。防御魔法、障壁を弁姫殿下の代わりに請負。展開していた荀彧、郭嘉──。
弁姫殿下へと土下座、謝罪担当をおこなっていた于禁達三人の麗しい戦姫達の艶やかな唇が開き。
「ふぅ。どうにか、こうにか」
「ええ、何とか間に合ってくれました」と。
荀彧、郭嘉の口から安堵感に浸る声が漏れれば。
「……ですね。先生。御二人」と。
于禁が笑みを漏らしながら呟くのだ。
尻餅をついて両手をつく巨人兵を見詰めながら呆然と、ではない。ないのだ。
こんなにも土下座が上手い。様になっている于禁……。
まあ、樊城での戦で敗れ、捕らわれた時には、闘神関羽雲長相手に、土下座をしながら命乞いをした失態を犯したと。生前に逸話の残る戦姫ではあるのだが。
それはあくまでも、晩成期の頃の出来事であり。
若かりし頃は、覇王曹操の覇道を支えた勇将の一人であることには違いない彼女ですから。
「……では、弁姫殿下と李儒(理樹)殿。私も自軍の兵達の許へともどります」と。
于禁は、お尻。尻餅、両手をついた埴輪の巨人兵のことを、自身の両目を大きく開け、驚愕しながら仲良く見詰める二人へと告げながら、自身の腰を上げ、立ち上がるのだ。
でっ、立ち上がれば、「あっ?」と、自身の瞼を大きく開け、何かを思い出した顔をする。すればね。
再度、仲慎ましく、抱き合うように佇む二人。李儒(理樹)と弁姫殿下へと視線を変え。
「──弁姫様、下知を、指示を、我等にください。お願いします」
于禁は、自身の頭を下げながら。この隊の御旗、総大将となる人物である弁姫殿下へと。
自分達援軍は、弁姫殿下の臣下の立場なのだと。自分達の立場を弁えた行動、振る舞いを勇将、知将らしい様子で、今後の指示を仰ぐのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます