第233話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【反撃】(4)

 于禁はこともあろうに、やんごとなき高貴な御方である、エルフの女神さま。劉弁姫殿下へと無礼極まりない態度。自身の持つ、大変に貧相な乳房で胸を張り。空威張りをしながら。『フン! フン!』と、鼻息荒く。仁王立ちで郭嘉から強引に。


 そう。妖艶なサキュバスの彼女が、弁姫殿下へとちょっとした意地悪、悪戯行為──。


 弁姫殿下が甘えている李儒(理樹)を強引に奪い。自身が優艶に甘え、魔力回復──。


 充電の最中にまた弁姫殿下が郭嘉に対して「もう、郭嘉は」と、可愛く。


 自身の頬を膨らませ、不満をも漏らしながら奪い返してきた。


 だから郭嘉の口からも「あら、あら」、「ふふっ」と、妖艶に笑みを浮かべながら言葉を漏らし。


(あら、あれほど大人しかった筈の弁姫殿下が。以前御会いをして話しをさせて頂いた時よりも、強くおなりになられましたね。以前と見間違える程……)と。


 郭嘉が自身から李儒(理樹)を、不満を漏らしながら強引に奪い返してきた。以前とは全く別人のような様子へと変貌化した弁姫殿下を首肯しながら凝視していれば于禁がこんな言葉を漏らすものだから。


「……だれですか? このダークエルフの娘は? わらわに対して失礼極まりない娘ですね」と。


 弁姫殿下がやはりいつもの彼女らしくない振る舞い。自身の目を細め眉間に皴を寄せ、頬を引き攣らせながら重たい口調で于禁へと不満を呟けば。


「……貴女の方こそ失礼な方ですね。見ず知らずの私に対して、そんな態度。上から重圧をかけ威圧をするような物言いで不満を漏らしてくるのはどうかと思いますが?」と。


 于禁の方も売り言葉に買い言葉ではないが。やんごとなき御方である弁姫殿下へと、また不満を漏らす。


 でも彼女の不満は、これだけでは収まらない。


「……貴女、そんな事よりも。その御方を離し、解放しなさい。そしてこちらへと渡しなさい。彼は我が主の大事な男性(ひと)なのですから」と。


 またもやプンプンと、頬を膨らましながら弁姫殿下へと李儒(理樹)返せと威勢良く告げるものだから。


 この場にいる。李儒(理樹)の件で雑談。口論。取りやい。奪いやい。を繰り返して五人の中で唯一、埴輪仕様の巨人兵へと攻撃。防御──。


 自身の手から分厚い書物を出し、ページを捲りながら『ブツブツ』と、独り言。詠唱を唱えながら。「えぃっ!」、「やぁっ!」と。威勢のある声を吐き。放ちながら。夏候惇と華雄将軍の援護──。埴輪仕様の巨人兵へと巧みに攻撃迄おこなっていた黒髪のエルフ殿。荀彧が後ろを振り返り。


「于禁殿ー! 余り劉弁皇女殿下様に失礼極まりない態度を取られていると。後で曹操様に折檻、御仕置されても知りませんよ」と。


 苦笑を浮かべながら告げ諫められてしまう。

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