第227話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【援軍】(8)
〈ドン!〉
紀霊将軍がスキルを発動──。
そのまま、三尖刀と共に、自身の巨大な身体ごと埴輪の巨人兵へと体当たり。【猪突猛進】をおこなうのだが。埴輪の巨人兵から大変に大きな打撃音はする。でも先程と一緒なのだ。埴輪の巨人兵は、自身の状態をグラリと動かし。状態をやや崩すのみと、己の足。紀霊将軍がスキル【猪突猛進】で体当たり。タックルによる打撃をした足の場所、箇所から。バラバラと埃のように崩した砂を落とすのみで。先程と同じ現象しか起きないのだ。
そう。いくら紀霊将軍が、主の死を目にして「あっ、あああっ、姫様……」と悲しみ。呆然──。我に返り憤! 怒りをあらわにしながら怒気を含み。
「貴様ぁあああっ! 家の姫様をぉおおおっ! ぶっ殺してやるー!」と。
紀霊将軍が叫び、渾身の【猪突猛進】をおこない。繰り出しても。敵の埴輪の巨人兵の致命傷には至らない。ほんの微量な傷ができるのみなのだ。
だから彼女、紀霊将軍を見て可哀想になる。
だって今の今まで、袁術の死で俯き、「くそ、くそ、僕に。僕にもっと力があれば。こんなことにはならずにすんだのに……」と、己の瞼、頬を濡らしながら嘆いていた李儒(理樹)でさえも。自身の顔を上げてしまうほどの衝撃音、打撃音にも関わらず。埴輪の巨人兵の致命傷にはならない。……どころではない。
敵の埴輪の巨人兵は、袁術嬢を鍬型の戟で押しつぶし、デリートした後に、目標を夏候惇と華雄将軍へと変え。今度はこの二人の戦姫をデリートしようと血気になり。
「ウォ、オオオッ!」、
「ウギャ、アアアッ!」、
「ピィー!」、
「キャ、アアアッ!」と。
怒気を含みながら荒々しく叫び、鍬を振るい。下ろして、二人を耕し、デリーするよう振る舞っていたのに。
今の紀霊将軍の渾身の一撃──!
スキル【猪突猛進】を食らい。受け。自身の瞳に映るターゲットを夏候惇と華雄将軍から紀霊将軍へと変え、大〇神の如く形相で睨みつけると。そのまま紀霊将軍へと鍬を振り下ろす。
そう、只今、スキル【猪突猛進】発動後の為に、身動きとれなく。動かなくなっている紀霊将軍へと鍬と振り下ろし耕しに入ってきた。
だから彼女、紀霊将軍は、泣きながら呆然と、自身を見詰める李儒(理樹)と、彼を取り押さえている弁姫殿下……。
只今埴輪の巨人兵の右足を馬上から打撃、薙ぎ払う。おこなっている二人。夏候惇と華雄将軍達四人の目の先で、埴輪の巨人兵からデリートされてしまうのだ。
彼女主である袁術嬢に続いて。
だから李儒(理樹)の顔は、もう完全にくしゃくしゃだ。自身の顔を悲惨、悲痛に歪ませ、強張らせながら。
「うわぁ、あああっ! き、紀霊さんー! 紀霊さんが死んだぁあああっ! 紀霊さんまで死んでしまったぁあああっ!」と。
李儒(理樹)は泣きながら絶叫を放つ、だけではない。
「──離せぇえええっ! 退けぇえええっ! 弁ー! 僕を離せぇえええっ! くそぉおおおっ! くそぉおおおっ! 殺してやるー! 殺してやるー! 化け物ぉおおおっ! 絶対に殺してやるからなぁあああっ!」
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