第211話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【魔物】(21)

 これまた、つい最近は、というか? 三國オンライン戦記の俺嫁、メインキャラクターだった曹操孟徳と仲直り、復縁をしてからは、李儒(理樹)の姉貴分的な存在へとなっている独夏惇に続くように驚愕をすれば。


「そうですよ~。あなた~。わらわは、あなたと李粛(りしゅく)と董卓の三人に、母ともども、惨い殺され方をされた上に、着ぐるみ剥ぎ取られて全裸で、洛陽に城外へと骸を捨てられた弁王子の転生者ですよ~。(ふっ、ふふっ)」と。


 李儒(理樹)の背後、背に貼りつきながら両手を前へと突き出し、「はぁっ!」と、気勢をあげながら魔法の障壁を展開──。敵の埴輪の巨人兵を己の持つ、握る。マスケット銃で攻撃していた李儒(理樹)を守る。守護していた劉弁姫殿下なのだが。魔法障壁を張る腕を利き腕の右手のみへと変え、左手は李儒(理樹)の腰に手を回し、『ギュッ』と自身の方へと引き寄せ──。


 李儒(理樹)が自分から慌てて逃げ出さないようにすれば、彼の肩に彼女の小さな頭とシャープな顎を乗せ──。今のような恨みつもりを、自身の口の端を吊り上げ、妖艶に笑みを漏らしながら。李儒(理樹)の耳元で囁いてきたのだ。


 だから李儒(理樹)は思わず、「えっ?」と、驚嘆を漏らすから。彼を救護、助ける為に慌てて駆けつけてきた。華雄将軍と袁術嬢の顔色と目つきが変わるのだ。


 そう、二人の戦姫の目は、弁姫殿下に下知を下された埴輪の巨人兵ではなく。李儒(理樹)の背後から、彼に前世の恨みつもりを呪うかのように囁いた弁姫殿下へと変えるのだ。


 それも、華雄将軍と袁術嬢の二人は、自身の目を細め、弁姫殿下の様子を睨むように窺い始めだしたのだ。


 自分達の主さま、李儒(理樹)が、己の顔色を青ざめ、動揺をし始めだしたから。


 と、なれば? この場に緊張感が走りだすのだ。


 もう、それこそ? この場にいる戦姫達は、埴輪の巨人兵どころではない。ないのだ。


 そう。もしも李儒(理樹)に劉弁姫殿下が害をなすようならば、やんごとなき高貴な御方であろうとも駆除、排除するべきなのだろうか? 


『さてさてどうしたものか?』


『劉弁姫殿下やるかべきか?』


『李儒(理樹)を守るべきか?』


『それとも?』


『今からこの場で、二人の間に何が起きようとも素知らぬ振りをするべきか?』と。


 この場にいる四人の戦姫各自各々は緊張をした面で李儒(理樹)と劉弁姫殿下の様子を窺う。『ゴクリ』と、喉を鳴らしながら一触即発状態へと陥るのだが。


 当の女神さま、姫さまは、この一触即発状態の緊張感に対して、全く気にもしていない容姿で。


「(ふふふっ)あなた~。わらわの話しを聞き驚きましたか~?」


 劉弁姫殿下は李儒(理樹)を女神さまではなく、小悪魔さまのように妖艶に笑みを浮かべ揶揄かのように囁く。


「えっ? うん。驚いた」


 劉弁姫殿下の問いかけに対して彼は直ぐに頷いた。




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