第192話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【魔物】(3)
だから彼は、李儒(理樹)は逃走、逃げる行為をやめて立ち止まり。女神さまの壁になるように、彼女を自身の背へと隠し。「女神さま?」と、声をかける。
「僕がここで、貴女の盾になり。少しでも時間を稼ぎますから。女神さまは、その間できるだけ遠くへ逃げて。そう、できるだけ遠くへお逃げください。今直ぐ。さぁ~」と。
李儒(理樹)は男らしく。そう、女神さまの勇者、騎士らしいお決まり台詞。アニメやマンガ、ライトノベルの主人公(ヒーロー)達が好んで使う。テンプレ台詞、言葉を(言ってみたかったんだよな。この台詞を……)と。うんうんと頷き、脳裏で呟きながら。自分なりに決まったぞ。これなら女神さまも自分のことを格好良い男だと思ってくれるに違いないと。(フフフ)と笑い。自己満足しながらエッヘンと、女神さまを庇うように立ちながら。李儒(理樹)自身は、主人公(ヒーロー)達のようになれたと自己満足しながら。
彼女の、女神さまの盾、防波堤になり。己が散り行く覚悟を決める。
「嫌です!」
でも直ぐにこれだ!
女神さまは、李儒(理樹)の思いとは裏腹に、彼をこの場に置きざりにして逃走、逃げる行為は嫌だと直ぐに拒否してみせる。
それも、彼の後ろ、背後から、未練がましく抱きつき甘え始めるのだ。彼の背後から頬と頬とを合わせ、摺り寄せ、頬ずりし甘え。そして愛おし気に彼の頬へとキスも、チュチュとしては甘える、だけではなく。
麗しい女神さまのしなやかな手や指先は、李儒(理樹)の背後から忍び寄り。彼の身体を未練がましく、愛おし気に触れ、触り、撫でまわし。最後は李儒(理樹)の腹部の下へと忍び寄り触れ触り。
「あなたさまの想いはわかりますが。わらわはもう、あなたさまなしでは生きてはいけられません。それに? あなたさまが産まれ育った世界の自然の摂理。オスとメスとの愛の育み、交わりを終えたわらわは、もうすでにあなたさまの新たな命を宿した可能性もありますから。わらわの伴侶をこの場に残し逃げることは不可、嫌でございます。御方さま」と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます