第188話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【乱】(12)

「退け!」、


「退けぇえええっ!」、


「退け! 退け!」と。


 夏侯惇は威勢良く、荒々しく、怒声を吐きながら。大変に大きな刃先を持つ『グレイブ』、『薙刀』、柄の長い『偃月刀』を馬上、埴輪仕様の木馬に騎乗をしながら振るえば。


〈ガン!〉


「「「ピキャアアアッ!」」」


 刹那──!


『ザッ、ザァアアアッ』と、先程説明をしたテレビの番組を終える騒めき音と断末魔を立て、上げしておチビな一向一揆達は消える。でも未だ彼女、夏侯惇へとおチビな一向一揆達は勢い良く迫り。彼女の李儒(理樹)の許へといく、ゆく、進軍を遮ろうと。


「ピキッ!」


「キャ! キャ!」


「ケッ、ケッ、ケェ!」と。


 何とも言えない奇声、声音、声色を吐き、放ち。喧騒交えながら更に夏侯惇へと突撃を決行──。彼女の許へと集まる。集ってくるから。


「俺様ぁっ!」、


「俺様の! 俺様のお通りだぁあああっ!」と。


 夏侯惇は更に憤怒、怒声を吐き、グレイブを振り回し、叩き落とし、薙ぎ払う。彼女の持つ、秘宝、法具に劣らない。


 そう、あの闘神と名高い。気位高い。アイツ……。盲夏惇の好敵手の一人である関羽雲長の持つ法具、青龍偃月刀と打ち合いをした折に刃こぼれしなかった。彼女、夏候惇御自慢の特注品の『偃月刀』、『グレイブ』を、ダークエルフの彼女は、オーガである巨躯を持つ紀霊将軍と変わらぬ力で、軽々振り下ろしてみせるのだ。


〈シュン!〉と風を切り裂きながら。


「「「ギャァ、アアアッ!」」」


 刹那、断末魔。


『ザッ、ザァアアアッ!』と、また画面、モニターを消す。消音が流れるのだ。


 でも、相手、敵、おチビな一向一揆達は、敵に対して恐怖、畏怖、恐れ慄くと、言った感情を持ち合わさない。ロボット、アンドロイド、NPCだった者達の上に。あの袁術嬢の嫉妬と憎悪を募らせながら【扇動】召喚をした兵達だから妖力、武力も高い一向一揆達だから。自分達の仲間が消去! 消えていこうが恐れ慄き、引くこともしないで、自分達の仲間が消去、消え、屍と化していく中を、すり抜けながら、夏侯惇へと更に、更にと、猪突猛進を繰り返しくる。くるのだ。










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