第181話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【乱】(5)
と、なれば? 李儒(理樹)は、ここで格好良く。凛々しく。勇者、騎士(ナイト)っぽく。己の足を──。
そう、匪賊、農民、町民一揆をしながら、自分とエルフな女神さまを追う。埴輪(おもちゃの兵隊)達から逃げる。逃走をする。計る行為をやめて立ち止まり反転──。
己の腰にぶら下げている剣を抜いて、匪賊、一揆なおもちゃの兵隊達と対峙──!
「ギャ、ギャ」
「ウギャ、アアアッ!」
「ギャ~、オオオッ!」と。
李儒(理樹)にしてみれば何を言っている。吐いている。怒声、罵声を放っているのかわからないけれど。甲高い声音で、容姿に違わぬ可愛い声色で叫びながら追いかけてくる。元NPCだった彼等、彼女達と、女神さまを守る。守護する為に争わないといけないところ。場面──。
李儒(理樹)自身が産まれ育った異国の地日の本の、数ある異世界ファンタジーなマンガ、ライトノベル、物語の中でも、ヒーロー達の一番の見せ場、見せ所──。
勇者、騎士、主人公がお姫さま、女神さま。ヒロインさまを守護、守り切って──。ヒロインさまの好感度アップ! 寵愛! 愛! 信頼度をあげて、最後にヒロインさまから。『大チュキ』、『愛しています!』、『チュ、チュ』と、キスの雨嵐をもらう。いただく。大事な場面と展開の分かれ目。テンプレな場面なのに、なのだけれど。
李儒(理樹)の容姿を見て確認をすればわかる通りだ。
彼は、普通の日本の同じ年頃の少年達と変わらぬ。今流行りのラフな衣装を着衣しているのみでね。甲冑や剣、槍、戟、薙刀、魔法道具等を装備している状態ではないのだ。
だから女神さまに、格好良く。凛々しく。自分自身を守る。守護してくれないのか? と、問われても。今の無装備の彼、李儒(理樹)では何もできない。してやることすらできないのだ。
「……女神さま。僕は何も装備。武器など持っていない。持参をしていなから。この場から逃げる。逃げるよ。早く。早く~!」と。
女神さまに告げ、彼女の手を引きながら逃げる。
そんな様子を女神さま、だけではないね……。
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