第168話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【四】(3)
「姫様?」
「ん? 何ですか、紀霊?」
「木馬の姿はありますが、姫様が探しておられる。理樹(殿)の姿は御座いませんが……。一体何処に? いずこに行かれたのでしょうかね、殿は?」と、彼女の容姿……。
そう、大変に大きな容姿──。彼女の先へと『テクテク』と歩き、歩行をしながら注意深く周り、辺りを観察……。
少しばかりの隙間、空間の歪み、扉……。
閉鎖されている空間若しくは、部屋への入り口はないかと、己の持つ美しい金色の髪色と違わぬ程美しい。金色の瞳がある目を細めながら注意深く辺りを観察、探索、捜査をしている麗しいエルフな少女と、大人と子供ぐらいの身長差──。大変に大きな体躯を持つ、大型鬼の種族であるオーガの女性は、彼女の大変に荒々しく勇んだ顔と大きな、威風堂々と見える容姿とは裏腹に気落ち……。
そう、彼女、オーガの紀霊は、自身が持つ、所持している武器──。
重さ五十斤もある槍、薙刀。両方の能力、力を持つ、戟とは違う特殊武器である三尖刀を軽々と、己の肩に当て、かけした状態、様子で辺りを恐る恐ると見渡すのだ。彼女、オーガの紀霊はね。
それも、少々困惑、悩む、困った表情で、自身の前を、何も気にした様子も無く。只々時空の割れ目、隙間、扉はないかと入念にチェック、探索をしている主。後漢の三公の一つ、その一族の血を持つ高貴なエルフな少女……。
そう、先程、自身の出世競争のライバルの一人である曹操孟徳達の会話を闇に隠れて、『フムフム』、『あなるほど』、『そう言う事か……』、『そうだったのですね……』、『知らなかった……』、『してやられた』と。
だから『悔しい』、『歯痒い』、『キィ、イイイッ!』と、癇癪を落としながら聞いていた【袁術】へと話しかける。問いかけるのだが。
当の姫さまと言うか? 袁術はと言うと?
「……ん? ああ、そうですね…」と。
自身の家臣、部下、側近である紀霊の問いかけに対して、相変わらずの上の空。何も気にしていない状態で、紀霊の先を、先をと歩み、進んでいくから。
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