第167話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【四】(2)

「君は、君は誰?」


「さぁ、誰でしょうね」、(フフフ……)と。


 その場に居座り。足を男座りで組み座る。座っている産まれたままの姿の、李儒(理樹)の膝、股座に、自身の頭を乗せながら、彼の膝、太股へと指を当て、『すき』、『きらい』、『大すき勇者さま』と。何故か日本の文字でなぞりながら、官能的に甘える裸体の、美の女神さま。エルフの少女に彼は、李儒(理樹)は、『貴女は誰?』と。


 先程から何度も……。



 そう、桃源郷、極楽浄土、夢幻、淡く艶やか官能的。幻想的な夢幻の中で、最中で、何度も優艶、艶やかな状態へと陥っている女神さまへと、多々尋ねたのだが。『さぁ?』、『誰でしょう?』、『フフフ』、『あっ、あん、ああ……』と、しか。李儒(理樹)の女神さま……。自分自身を守る。守護してもらうために召喚した勇者へと説明をしてくれない。くれないでいるから。


 李儒(理樹)自身は困って仕方がない。ないのだよ。


 もうそれこそ、彼は?


 いつもの如く、通りでね。


『困ってしまって、ワンワン』な状態へと陥る。堕ちっている最中なのだが。思春期である彼の男の性、欲望心の方が抑え切れず、耐え忍べなくなり。


 李儒(理樹)は己の身を女神さまへと差し出し、二人の快楽が終わりを告げているこの状態が、前回の続きと、優艶、艶やかな振る舞い。舞を踊っていた二人の様子の回想シーンとなるのだが。


 さてさて、どうしたものか?


 李儒(理樹)は自身の股座に頭を乗せ、頬ずり、甘え、彼の肢体へと、己の華奢指先で、優艶に悪戯行為をしている最中の女神さまを凝視しながら思うのだ。思うのだが。


 彼の、李儒(理樹)の甘くて淡いだけの困惑は、余り長くは続かない。


 だって二人の淡くて甘い時間、時を壊す、ワッ! ワッ! と、した多数、大勢の騒めきが直ぐに聞こえて、李儒(理樹)と女神さまの淡い、甘い時、夢幻を破壊。積み木を崩すように壊していくからね。




 ◇◇◇◇◇

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