第141話 李儒(理樹)と内気な姫殿下(曹操との出逢い!)(7)

 だから李儒(理樹)に対して曹操孟徳は、本来なならば、『李儒(理樹)! 李儒(理樹)! やっとちゃんと逢えた。逢えるね。僕達二人は……。だから僕は嬉しい。大変に嬉しいよ。今後の余生は二人で仲良く暮らそう。暮らそう。李儒(理樹)……。僕が君……。あなたな、の事を一杯、一杯愛して尽くしてあげるからね。李儒(理樹)……。あああ~、愛している。愛しているよ。李儒(理樹)。(チュ、チュ)』と、キスの雨嵐を李儒(理樹)に降り注ぐほど歓喜する。するはずなのに、曹操孟徳自身はね。でもさ、先程から、彼女の彼……。本当、本来ならば、曹操孟徳自身の物、所有物であるはずの必中の彼、主、夫、殿さまから自分以外の女性(ひと)、女の匂いが、李儒(理樹)の身体から『プンプン』と臭うものだから。曹操孟徳自身の心境は穏やかでは無い。無いから。本来は李儒(理樹)の閣下と比べても勝るとも劣らない容姿を持つダークエルフ少女の上に。李儒(理樹)が三國オンライン戦記を初めて、最初にプレイをする時のキャラクター選びで、並みいる敵……。



 そう、劉備玄徳、孫策、孫権、呂布奉先、袁紹、袁術、その他の諸々といる諸侯達……。



 あっ? 若かりし頃の【董卓仲頴】ではなく。ポチャリ、ふくよかな容姿を持つ、暴君! 魔王な董卓閣下もいたね、確か……?


 まあ、そんな多々いる煌びやかで麗しい戦姫諸侯、ヒロインキャラクター達を差し押さえて彼、李儒(理樹)の心、ハートを射止め、一目惚れをさせ、キャラクター選出競争に勝ち残って勝利を得たほどの麗しいダークエルフの少女のはずなのに。この曹操孟徳自身はね。なのに、今の彼女は顔の様子は、眉間に皴を寄せ、両目を吊り上げ大変に恐ろしい形相……。



 まるで? 嫉妬に狂ったあの、安珍と清姫の物語にでる。出演している悪しきヒロインさまである。清姫のように嫉妬に狂った恐ろしい女性の形相をしているのだ。曹操孟徳自身はね。だから彼女は自身の愛する者、李儒(理樹)であろうとも荒らしく迫り。


「誰だ! 誰に誘われてきたのだ! 李儒(理樹)! お前は! 今直ぐ言え! 言うのだ! 李儒(理樹)!」と、己の腕──。


 李儒(理樹)の喉元を絞めながら、床の上に押さえつけている己の腕、掌に、『グッ、ググ』と、更に力を込めながら問うのだ。曹操孟徳自身はね。でも、彼女、元嫁と呼んだ方が良いのかも知れない曹操孟徳の顔の相や様子を、己の両目で李儒(理樹)自身も見て確認をすれば。安易に「(孟徳。僕は董卓閣下に誘われ。召喚されたから、この世界にきた。いるのだよ。孟徳と告げる訳にはいかない。いかないよね。孟徳の気はかなり荒々しくなっているから……)」と思う。思うと彼は直ぐに己の口を開いて。


「だ、誰だっていいじゃないか!」と。


 嫉妬に狂い、自分自身の首を締め付ける曹操孟徳に対して叫んだのだ。お前には関係のないことだ。と、でも言いたい様子で李儒(理樹)は曹操孟徳へと叫んだのだ。……だけでは、李儒(理樹)の台詞は終わらない。


「……な、何で僕が君に、孟徳に……。一から十まで説明しないといけないのだよ……。君自身は今の今まで、僕のことなど忘れて、この世界……。新しくできたこの世界と、自分達がゲームのキャラクター達ではなく。生きる者、生物、人として自分自身が、意思が持って日常生活をできるようになった喜びと、慌ただしく多忙な生活の中で、僕のことなどとうに忘れていたから。僕を誘う。迎えにくるようなことなどしてくれなかったのだろう。孟徳は?」と。





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