第69話 魔王なダークエルフさまは、あの方らしい?(6)

 麗しい董卓閣下は李儒(理樹)へとこのように説明をする。


 ここは漢。天下の首都、洛陽の町だとね。


 だから李儒(理樹)が思案をしていた。洛陽の町、長安の町。さてさて、どちらなのだろうかは? 袁紹を総大将にした反乱軍への焦土作戦が結構、おこなわれる前の、煌びやかで美しい洛陽の町のようなのだ。李儒(理樹)の目に映る外の景色の様子と、宮廷内の様子はね。


 だから李儒(理樹)は、といか? 彼自身、閣下から。そのことを聞き、安堵するのだ。


 だって、李儒(理樹)の大事な宝物さまの後世へと残した汚名の一つは、この漢の首都である洛陽の町を焼き払い。焦土。灰と塵と化したことも含まれているからね。そのことを知る李儒(理樹)は『ホッ』と、胸を撫でおろす。


 でもね? 彼の大事な宝もさまは、先程から今も不機嫌極まりない御顔──。


 そう、黙って、ニコニコ、ニコちゃんをして、続けていれば。誰もが彼女を見て、魅入り。見惚れ、ボォ~ッと、してしまうほど美しい容姿の彼女なのに、己の眉間に皴を寄せ怪訝な表情を閣下はしているから。何とも、恐ろしい。恐ろしいのだ。


 でもね? 当の李儒(理樹)はと言うと? 相変わらず考える男性(ひと)化している状態。状態なのだ。己の大事な宝物、宝玉さまのためにね。

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