第52話 魔王さまの誘惑?(1)
「うぐ、うぐ。うっ、ああ~。はぁ~、はぁ~。うぐッ」と。
変な音、というか? 大変に官能的で嫌らしい息遣い。吐息と言う奴が、かすれた声音と共に漏れ聞こえてきた。
と、いうか?
先程からやたらとこの部屋……。
そう? 先程探し物……。
己! 思春期の男の子らしい純粋な性と欲望の為にと探し物を探索していた少年がいた。と、いうか? いたのだが。
その少年は? 己の悪しき欲望、男の性を叶え、成就してくれる者、女性(ひと)を『ここだ~。ここだ~。ここにいる~。ここにいるぞ~。李儒(理樹)~』と妖艶、官能的な甘え声色と招き猫、というよりも? 黒き褐色の色をしたメス猫の物の怪のように手招き──。
それも? 解けた毛糸や凧紐を手繰り寄せるような妖艶、艶やかな手招きに誘われて、少年は探し物を発見したのだ。
そう実は、李儒(理樹)はね? アニメやシネマ、マンガ、ライトノベルのヒーロー達のように、己に忠実、好意を持つ、ヒロインさまを発見──!
その麗しい容姿に対して、お決まりの如く、驚愕! 驚嘆を漏らすのだ。
「す、凄い! 綺麗だね! 君は! 綺麗な君は、ダークエルフになるのかな?」とね。
李儒(理樹)は驚嘆を漏らすだけではない。声の主である少女に対して、一発で己の両目をハートマーク! 【ホの字】と化して、お顔を緩め、への字眉毛に両目仕様になる。
そう、先程迄の三國オンライン戦記の運営会社があるビルの建物を破壊してやるのだと勇んだ台詞と鼻息荒くしていた悪しき心と想いは。
李儒(理樹)自身の許へとやってきた異世界ファンタジーのヒロイン女神さま、と、うよりも?
李儒(理樹)の許へとやってきたヒロインさまは。先程彼が言葉を漏らしていた通りでダークエルフの美しく麗しい妖艶な少女なのだ。
それも? ダークエルフの少女が着衣している服装装飾の色合いの方も、地味と言うか? 大変に妖艶差を増すような色合いである。紫色をベースに黒と。その上、赤や金の装飾糸と品を散りばめ飾られた。古代中華の高貴な者達のいで立ちである冕冠と服装……。下の方は、チャイナドレス使用の大きくスリットが入った短い使用のスカートを着衣しているから。
李儒(理樹)の許に異世界ファンタジーでやってきたヒロインさまは、まるで? 悪しき女王──。
そう、女性魔王さまのような少女だから、先ず李儒(理樹)の許へとやってきたファンタジーな女神さまは、ではなくて魔王さまで、間違いないと思われる。
まあ、そんな李儒(理樹)の麗しい。ファンタジーな魔王の如き、ダークエルフの少女なのだが。
自身が声をかけ、この場から出してくれとせがみ嘆願をした異性である李儒(理樹)自身がね。余りにも自分の容姿のことを『綺麗だ!』、『可愛い!』、『素敵だ!』と、褒め称えてくれるものだから本当に上機嫌になる。なるのだよ。
まあ、その辺りは、女性なら誰でも当たり前のことだと思うけれど。
それでも李儒(理樹)の奴が大袈裟過ぎるぐらい。自身の両目をハートマークにしながら褒め称えてくれるから。魔王さまは大変に御機嫌、麗しい様子でね。己の気を良くしながら。
「ああ~、そうだよ~。李儒(理樹)~。お主の言う通りで、儂はダークエルフと呼ばれる種族の娘だ~」と。
ニコニコとニコちゃんしながら微笑み、愛想良く、李儒(理樹)へと、彼の所持していたスマートフォンの中──。画面から柔らかい声音で回答をするのだ。
それもさ? スマートフォンの画面から魔王さまは、自身の身体の大きさに対して大変に不釣り合いな腕を『ニュ~』と伸ばして、掌を広げ、李儒(理樹)に『おいで~! おいで~!』を手振りしながら。
「李儒(理樹)早く儂の掌を掴んで、お主のスマートフォンの画面から引き抜き出してはくれぬか~? さすれば~? 儂はお主の想い。邪な奴を成就してやるから~。早く引き抜いてくれ~。お願いだ~」と。
魔王さまへは妖艶、官能的な上に、優しく甘い声音とともに、オスである李儒(理樹)を誘惑しながら誘う。誘うのだ。この世の禁術、してはならない行為である異世界間のゲートを開く手伝いをしろ。して欲しいと魔王さまは、己の妖艶、艶やかな唇と肢体を対価──代償でやるから。魔族? 魔物? 幽霊達、邪な者達の為に禁術の手伝いをして欲しいとせがむ。
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