国土交通省の新たな取り組み

 今では当たり前になったカーナビゲーションシステム。このコラムでも何度か取り上げている衛星測位システム(GNSS)との組み合わせで、自分の今いる場所だけでなく、混雑情報や目的地までの所要時間が分かったり、どんどん進化しています。ちなみに、世界初の民生用カーナビは、アルプス電気が設計開発し、ホンダ車に搭載されたものでした。1981年のことです。当時は、GPSが一般に開放されていなかった(常時使用は1994年)ため、衛星情報は使っていません。何を使っていたかといえば、慣性航法です。しかも、地図もデータ化されておらず、地図が書かれたシートを差し替えて使うという、今考えると笑っちゃうものなんですが、それでも画期的でした。


 で、今回はその地図データの話です。カーナビの普及で、地図データのニーズが高まり、より精度の高い地図データが求められるようになりました。それ以前にも、印刷するために地図データは使われていましたが、カーナビやスマートフォンの地図アプリなど、使用の裾野が広がったと言った方がいいかもしれません。言い方はともかく、今の時代、地図データが(以前にも増して)重要視されていることは間違いないでしょう。


 地図、といえば国土交通省。2020年12月に国交省が新たな取り組みとして公開したのが、3D地図サービス「PLATEAUプラトー」です。


https://www.mlit.go.jp/plateau/


 上記のサイトから、ビューワーを使ってブラウザ上で動作させることができます。仕様では、必要RAM4GBとなっていますが、8GBでも厳しい感じなので注意しましょう。


 さて、3Dの地図といえば、Google Mapを思い浮かべる人も多いでしょう。Google Mapのような既存の3D地図と、PLATEAUは何が違うのか。PLATEAUは、高さの正確な情報を持っているのです。

 Google Mapの3D地図は、幾何形状ジオメトリーモデルと呼ばれるもので、建物などの形状を再現しているに過ぎません。一方、PLATEAUは意味論セマンティックモデルと呼ばれるもので、建物や道路ひとつひとつのオブジェクトに対し、高さだけでなく名称や用途、建築年などのプロファイルデータが付与されているのです。


 意味論セマンティックモデルの地図を整備することで、いろいろな活用が考えられます。国交省は防災に役立てることを最初に考えているようです。すでに、荒川が氾濫した際のハザードマップを、PLATEAUを利用した3Dマップで提供しています。


 この他にも、新しいビルを建築する際の日照の状態を算出したり、(道路の情報もあるので)渋滞シミュレーションなんかもできるかもしれません。

 個人的には、将来、空飛ぶクルマ(エアタクシー)が登場したときに、役立つんじゃないかと思っています。

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