有人ロケットの話
スペースX社のクルー・ドラゴンがISSとのドッキングに成功しました。クルー・ドラゴンは、7人乗りの有人宇宙機ですが、今回はテストということでダミー人形が乗せられていました。7月には、二人の宇宙飛行士を乗せて打ち上げられる予定だそうです。
民間とはいえ、ISSへの有人アクセス手段を入手できたことは、アメリカにとって重要です。スペースシャトルの退役以来、ロシアのソユーズに依存してきたわけですから。アメリカの友人輸送にブランクが空いてしまった理由のひとつは、アメリカ(NASA)がスペースシャトルに全面移行してしまったお陰でロケット技術の継承が上手く行かなかったことだと思っています。お陰で民間が活気づいたと言えなくもありませんが、民間だとビジネスを優先せざるをえないので、チャレンジはしにくくなるのではないでしょうか。
ひるがえって日本はどうか、といえば、有人ロケットの開発は難しいと思います。現在開発が進められているH3は、能力的には人間を宇宙まで運ぶこともできるでしょうが、それだけでは片道切符。地上に帰還する技術も必要で、それぞれに十分すぎるほどの安全対策が求められます。しかし、日本には、人間を宇宙まで安全に送り届けるノウハウもなければ、地上での有人による実験設備すらありません。
人工衛星用の真空チャンバーなどの実験設備はありますが、それを有人の実験に使えるかといえば、答えはNOです。万万が一にも人命が失われるような事故は許されないので、二重三重の安全対策が必要になるのですが、それをやっていたらJAXAの予算は枯渇してしまうでしょう。悲しいことですが。
日本が、有人輸送技術を入手できたかもしれないチャンスが過去にありました。ソ連崩壊の時です。経済的に困窮したソ連──ロシアを救済するため、各国が技術連携を行うという話がありました。日本もドイツと一緒にロシアと技術提携する話があったそうで、実際に宇宙研(ISAS)の研究者がロシアで視察を行っています。結局この話は立ち消えになり、ソ連の技術は中国に流れました。
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