封鎖突破

作者 喬木 あきら

まさに古典!シンプルな筋と爽やかな読後感の海洋冒険小説。

  • ★★★ Excellent!!!

American Civil War=南北戦争の最中の1862年、イギリスからアメリカに銃器を運んで綿を持ち帰る貿易商の冒険と交錯する少女の願いを描いた作品ですよ。
(ジュール・ヴェルヌ作品の翻訳)



タイトルがカッコイイです。ジュール・ヴェルヌといえば、『海底2万マイル』『八十日世界一周』『十五少年漂流記』で知られる有名作家、学校でも薦められる良作を物していらっしゃいます。

本作はその有名作家の中編作品の新訳です。

ジュール・ヴェルヌさんはフランス軍人とスコットランド貴族の末裔の娘さんの間に生まれた仏語話者、不調法ですのでネットで色々と調べてみました。

原書は1865年に発表されており、同年はまさに南北戦争が終わった年にあたりますから、発表当時は読者の記憶も生々しかったでしょう。
それをシンプルな筋の騎士道譚にまとめたわけです。

日本ではそれから22年後、明治20年(1887)に独醒子こと森田思軒さんが『郵便報知新聞』上に「煙波の裏」という邦題で翻訳を連載されましたが、単行本は出ませんでした。
これはどうも、英語版の翻訳だったらしいです。仏語→英語→日本語と訳されたわけですね。未見ですが、翻訳された文体は漢文調の今では読みにくい代物のようです。明治翻訳体というか、そういう感じの文体はあります。部分的に七五調だったりするんですよ。今の人には手強い文体です。

つまり、翻訳としては130年ぶりの新訳ということになります。これまでは古い新聞を図書館から借り出して読む以外には仏語または英語版を読むしかなかった小説が、手軽に読めるようになったわけです。しかも、普通に翻訳調なのでリーダビリティも高く、ストレスなく読めます。

筋がシンプルだと飽きやすいかと思いきや、ちゃんと一波乱も二波乱も、キャラクターの見せ場もキッチリ、さすがの腕前です。
書く人も読む人も、ともに十分に楽しめる内容であることは疑いありませんよ。

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