♯332 ラブリーバストのエステルちゃん
ニーナがささやく。
「もちろん知ってますよ~『エステル・クライアット』ちゃん! 稼いだお金を実家に送るような家族思いの方で、妹さんを失ってから歌の夢を諦めて冒険者になり、優秀な魔術師として世界を旅された
「んなっ――!」
挑発して見せつけるように大きな胸を張り、クスクスと笑うニーナ。エステルは自身のなだらかなモノを見下ろして目つきをキツくする。
「ウフフ驚いてる~! アナタがこの街に来てナニをしていたのかも、あたしはぜーんぶ知ってますよ~?」
「な、なんですって……!?」
「アナタだけじゃなくってぇ、この会場にいるみなさん全員ですけどね~? ウフフっ。アナタがディナーを食べてくれないならぁ、今ココでぜーんぶ話しちゃおっかなぁ~? たとえばぁ、二日目の夜にベッドの中で一人っきり、あーんな激しいえっ」
「や、やめなさいッ!!」
「もごもごごっ」
思わず立ち上がってニーナの口を塞いだエステル。ニーナはキョトン顔で頭のウサ耳をぴょこぴょこさせた。
エステルは観念したように脱力して手を離し、つぶやく。
「何のつもりか知らないけれど……食べればいいのでしょう……」
「んふっ♥ わかってくれればいーんです! きっとご満足いただけるはずですよ♪ それではまた後ほど~♪」
「待ちな!」
ご機嫌な様子でステージに戻っていこうとしたニーナだが、そこでヴァーンに呼び止められて「はーい?」と足を止める。
クレスたちの視線はヴァーンへと移る。
腕を組みながら珍しく真剣な表情をしていたヴァーンは、ニーナをにらみつけるように見つめている。だがニーナは「きゃっ、熱い視線♪」とおちゃらけていた。
皆の注目を集める中、ヴァーンが言う。
「お前……サイズはいくつだ」
クレスたちが「えっ」と声を揃える。ニーナはまた大きな目をパチパチさせた。
「96……いやもう少しあるか。さっさと答えな。お前の――乳のサイズをなぁっ!」
めちゃくちゃ格好つけた格好と声でそんなことを尋ねたヴァーンに全員が呆然とする中、ニーナは「ぷっ」と吹き出してから腹を抱えて笑う。
「あはははなにそれ面白いヒト! いーよいーよ教えちゃう! あたしのバストサイズは98だよ惜しかったねっ。ウフフ! どうしてそんなこと知りたいんですかぁ?」
「フン。あのクソ生意気そうな主催者にあったら絶対乳揉んでやろうって決めてたんでな。ニーナっつったか。へ、想像通りのクソ生意気な乳しやがって。オレ様に揉みまくられる想像と覚悟しとけや!」
「やぁんエッチ♥ でもアナタみたいに面白いヒトなら……うんうんそうだっ! ちゃんと最後まであたしのパーティーを楽しんでくれたらぁ、あたしのおっぱい、満足するまで触らせてあげちゃう♥」
「言ったな忘れんなよ!」
「あたし記憶力はいいですから~♪」
両手で大きな胸をたゆんと持ち上げてウィンクするニーナ。そのまま「じゃあまた後でね~♪」とこちらに手を振り、スキップしながらステージへと戻っていった。
「ほほぉ、オレ様が満足するまでとはなかなか言うじゃねぇか。ぜってぇ後悔させてやんよ。オイどうだお前ら? なかなかイカす宣戦布告だったろ」
ニッと笑ってみせるヴァーン。
クレスとフィオナはいつもと変わらないヴァーンの姿につい笑いだしてしまい、立ち上がったままだったエステルが肩の力を抜いて席に座る。
「ここはアイツの領域だろ。逆らったところでヤベェニオイしかしねぇ。とりあえず従っておこうぜ。
「ああ、ヴァーンの言うとおりだ。敵の手の内も知れない今の状態でうかつに仕掛けるべきではないだろう」
「そ、そうですねっ。他のお客さんたちもいますし……そ、それにその、ニーナさんにいろいろ話されちゃうと、こ、困りますし……」
ぼそぼそつぶやきながら声が小さくなっていくフィオナ。その頬が赤らみ、クレスはいろいろと察して黙っていた。
「と、とにかく少し様子をみましょう! エステルさん、大丈夫ですか?」
「え、ええ……そうね。ごめんなさい、取り乱したわ……」
少々戸惑いながらもうなずいて返事をするエステル。
そこでヴァーンが彼女に顔を寄せる。
「んで? エステルちゃんは一人でナニしてたのかなぁ?」
その声に、エステルがびくっと敏感に反応する。
「まぁ大体想像は出来るぜ? オレ様も好みの爆乳メイドと思う存分楽しませてもらったからなぁ。お前もはっちゃけて遊んじまえばよかったのによ。やれやれこれだから処女ってヤツはぶげらぼっ!?」
ニヤニヤしていたヴァーンの顔に熱々のスープ皿がぶちまけられる。当然ヴァーンはその暑さに「んぐおおおおお!」と悶え苦しみ、エステルは無言でワインを手に取ると一気にぐびぐびと煽った。
「わわっ! そんな急に……! エ、エステル……さんっ?」
フィオナがそっと声を掛ける。
酒を飲み干したエステルはグラスをテーブルに載せ、近くのバニースタッフに追加を命じる。そしてすぐに新しいものが運ばれてきた。
「……ずいぶんと良いワインを用意しているみたいね」
うつむき加減につぶやくエステルの顔は、心なしかうっすらと赤らんでいた。
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