第50話
連中は練度で、ライたちは人数で相手に劣っている。ゆえに、攻撃開始直後の奇襲でどれだけの損耗を与えられるかが重要になり――そしてそのためにはある程度の時間が必要になる。その間、当然標的になっていない敵は動けるわけで――リーシャ・エルフィを人質として誇示するか、もしくは殺害するために行動を起こす者もいるだろう。したがって、ライは必要に応じて地下室内に矢を撃ち込み、賊の行動を阻止出来る
一、広場全景、上層構造物、地下牢獄のすべてを
一、敵に発見された場合に、敵がライの設定した
最初のひとつはライが兵舎を含めた山砦の全景を
ふたつめはライの射撃――最初は制圧射撃、味方の兵たちの突入後は支援射撃になるが、ライの射撃がこちらを発見した賊によって妨害されないためである。ライは初手で出来るだけ多くの賊に負傷を負わせ、行動能力もしくは戦闘能力を奪わなければならない。そうすることで味方の突入を支援し、また賊はライの射撃に注意を払いながら近接戦闘を行う必要に迫られる。
敵が接近してくる経路が一方向に制限されるならば、ライが迎撃態勢を整えるまでに十分な時間が出来るからだ――どんなに素早く接近してくる敵であっても、そこを通るのがわかっていれば迎撃は容易い。
必要が生じれば、メルヴィアに護衛についてもらうのもいいだろう――剣を持った彼女と相対して、最後まで立っていられる人間はさほど多くない。
さて、方針は決まったがどこから侵入するか――出来れば上層構造物からも広場からも見つからず、時間をかけてじっくりと砦内を観察出来る場所が望ましい。
そしてそのためには、潜伏場所は出来れば暗い物陰がいい――物陰になっている場所のほうがひそみやすいし、明るいところでは輪郭がはっきりと出るうえに影が出来る。
あの塔に入れればいいんだが――
胸中でつぶやいて、ライは南側に聳え立つ塔へと視線を向けた。
出来ればあの物見塔に到達したい。壁上通路まで登れば、広場から気取られずに様子を窺うことは出来る――東西の通路は幅が約三メートル、南側にいたっては十メートル弱。外側のへりに近い場所で姿勢を低くしていれば、広場からは死角になって見つかる恐れは無い。
とはいえ、上層通路もしくは構造物の屋上に敵がいれば丸見えなのだ――牢獄直上の建屋の窓からは角度の関係でまず視界に入ってこないだろうが、西側の窓から頭を外に出せば壁上通路の様子を窺うことは出来る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます