第18話
なので国王が兵を動かすか否かに関係無く、襲撃現場から一番近いレンスタグラ砦に駐屯する軍が独自に捜索部隊を派遣することは十分考えられる。宿場町の間を往復して警備にあたる長距離巡察部隊や商団から近隣に駐屯する国軍の砦に通報が行ったとして、通報が砦に届くまでに早馬を飛ばしても一日――レンスタグラ砦に駐屯する国軍が通報を受けて追討部隊を編成し、現場に到着するまでは少なく見積もっても一日半。
つまり――レンスタグラ砦の駐屯部隊が独自行動による追討を始めていたとしても――実際に派遣された軍隊が現場に到着し捜索を始めるのは、早くて明後日の夕方。
こういった営利誘拐は、身代金を払って味をしめさせると同様のことが何度でも繰り返される――だから誘拐犯たちを殲滅して人質を奪還する救出部隊が派遣されるだろうというのはリーシャ・エルフィも予想していたが、その救出部隊がまさかその日のうちにやってくるとは思っていなかった。
彼が今の時点で行動を起こしている可能性があるとすれば――近日中に国土北東部、ヘイルターシュ辺境伯領と隣国エルディアを分断する国境線でもある大河ゲイムマーザを水源にその両岸を大規模な水田として開拓する計画が立ち上がっていたので、父王がその計画を煮詰めるためにみずから
彼は自分に敬意を払わない者に敬意を示さない――用があるのが彼の上位者でない限り、用事があるのなら用のあるほうが出向くべきだというのが持論であるらしく、呼びつけられるとあからさまに無視する。
父王デュメテア・イルトはそういった態度を好ましく思っている様だが、貴族の中には彼の叛骨を嫌う者も多いらしい――関係が決裂して困るのは技術指導を受けられなくなる王国側なので、
そんなわけで、デュメテア・イルトは用事があるとよく王都を空けて
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます