記録8:デュイン人
店に入った後に分かったが、どうやらこの店は雑貨店のようだ。狭い店内にところ狭しに商品が棚に置かれている。天井からは文化基盤の無さそうなゴミのような曲が流れている。本は全て文化基盤の無さそうな薄さだ。雑貨店に本が置かれていること自体おかしいが、そんなことよりも重要な状況を目の前に見ていた。
白銀の民――リパラオネ民族はその銀色の髪からそのように呼ばれている。我々リパラオネ人はアイル人やパイグ人のような黒髪の者ではない。この特徴的な髪の色は単なる銀色ではない。だから、我々は単に髪を染めただけのラネーメ人と同胞を区別できる。目の前に現れたのはそのように区別された者だった。
「すまない……変なことを訊くがもしや、あなたはリパラオネ人か?」
目の前にいる女の子はリパラオネ人であると思った。特徴的な髪とフラニザを着た姿がその証拠だ。地上にリパラオネ教が残っているということは、この地上も見捨てたものではない。
私が声を掛けた少女の顔は輝いていた。彼女はフラニザの袖を揺らして手を合わせてこちらの顔を見てきた。
「彼女はリパラオネ人です。」
「彼女……?」
「彼女はフィシャ・ベルチェと言います。」
誰のことについて話しているんだろう?まあ、この少女は奇妙だがリパライン語を喋り、フラニザを着るということは教養あるリパラオネ教徒なのだろう。色々訊かねばなるまい。
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