03-03 初めての合コンはラフスタイルで

「おう、おかえり。遅かったな……ってどうしたんだよ、その顔……」

中に入って開口一番に飛んできたのは、おやっさんこと剛の声だった。

「大丈夫です……ご心配なく……」

悠真は乾いた笑みを浮かべながら荷物をテーブルに置いた。

「おいおい……なんか浮かねえ顔してんな……大丈夫か?」

心配そうな叔父の顔を見た悠真は、先ほどの事を彼に話した。

「おやっさん、実は……」


***

「ふーん……」

一連の話を聞いた剛は意地の悪い笑みを浮かべながら悠真を見ていた。

「合コンね……いいんじゃないか……お前、いないんだしな……」

「……っ」

悠真は、俯いて唇を噛み締めた。自分の気持ちを見透かされているような気がして悔しくなったのだ。

「わかったよ……行ってみるよ……」

彼は、絞り出すような声でこう言った。それを聞いた剛は、おおっ、頑張れよと軽めにエールを送った。


***


「ただいま……」

悠真が帰宅したのは、夜七時前だった。

「おかえり……ご飯もう少しでできるから待ってて」

そう言って彼を出迎えたのは、母親の小寺朱莉おでらあかりだった。年齢の割にはスマートな体型の美人である彼女は、黒いストンとしたワンピースの上に生成りのエプロンをしていた。

「うん……」

悠真は、頷きつつダイニングの椅子に座り、スマホを取り出し、メッセージアプリを立ち上げた。宛先は勿論シムだ。


___


合コン、参加するよ。


___


そのメッセージが送られた数分後、シムから返信が返ってきた。


___


おっけー☆〜(ゝ。∂)日曜に駅前の居酒屋でまってるねー(╹◡╹)/


___


文面はチャラいのに、絵文字を入れたがる癖は昔から変わらないな。悠真はそう苦笑した。小さくくすくすと笑っていると、横から朱莉がこう言ってきた。

「楽しそうだけど……どうしたの?」

「なっ……なんでもないよ……」

彼は赤面してそう否定した。かわいいなあ。朱莉はそんな息子を見て愛しく思うのであった。


***


それから3日後。

「あのさ……シリウス……ちょっとその格好はラフすぎないか……?」

ここは駅前の居酒屋。シムは悠真の格好を見て少し首を傾げていた。

「え……そうかな?」

今日の悠真のファッションは、白い無地のTシャツに洗いざらしのブルーのジーンズだった。それに白いスニーカーを合わせている。

「俺にはこれが精一杯のおしゃれなんだけどなあ……」

「……」

シムは、ため息をつきながら、ぶつくさ言う悠真と共に店内に入った。中に入ると、先に入っていた他の参加者が手を振っていた。シムは彼らに手を振り返すと、そっと席に着席した。悠真もそれを追って着席する。全員が席につき終わると、その中のリーダーらしき青年が、おもむろに立ち上がってこう言った。

「全員集まったな……じゃあ、始めますか……」

悠真は不安だった。この中で目立てるのかが。

(続く)

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