03-02 合コンへの招待


昼下がりのコーヒーショップは暑さを逃れた人々でごった返していた。悠真とシムは唯一空いている端っこの席に座った。

「思ったよりもここクーラーきいてないな……」

「ははは……」

二人はそう笑いあいながらコーヒーを注文した。


***

それからというもの、悠真とシムは昔の思い出話を互いの近況も交えながら語った。その中で、悠真はシムに関して何らかの違和感を感じていた。

「へえ……5月の連休に京葉サニーランド行ったんだ……」

「そうなんだよ……女の子達も一緒で楽しかったよ」

「へえ……」

その違和感とは、シムの話す話題がパソコン・ネット関係のそれではなく、主にサークルで行った旅行や合コンの話ばかりなことだった。また、茶色く染め上げた上に、ややツンツンと立てた髪や、いやに垢抜けた服装とアクセサリーも彼の中のそれを加速させた。

「……」

なんか、寂しい。人ってわずか数ヶ月でこんなに変わるのだろうか。女の子よりもパソコンに夢中だったあのシムが。悠真はそう一抹のさみしさを感じていた。


***


「あのさ……シリウスってさ……仲良くしてる女の子っているの?」

「え……?」

シムがそう悠真に単刀直入に言ったのは、店に入って数分後の事だった。そもそものきっかけは、話の中で女の子の話題になり、シムがサークルで出会った女の子の話からの流れでこうなったのであった。

「……」

彼は今まで出会った女の子達の事を思い出した。

バーチャルアイドルの少女や、元同級生の少女……さらに一度しか顔をあわせなかった少女達などたくさんの顔が浮かんできた。だが、これといったその後の進展はなかった(事実、その中の一人は彼氏いるし)。

「うーん……いないかなあ……」

「いないのかあ……」

シムは少し考え込むような仕草を見せた後、思いついたように顔を上げてこう言った。

「そうだ……お前今度合コン行かないか……ちょうど今度やるやつ一人分空きが出来たんだよね……」

「……」

悠真は少し考えた後、一呼吸置いてこう答えた。

「ごめん……ちょっと考えさせて……連絡は後でするから……」

シムは驚いたような顔をした後、いいよ、と言って自分のメッセージアプリのIDをナプキンに書いて渡した。悠真のほうも自分のIDを渡した。

「じゃ、返事待ってるよ」

「うん……」

その後、二人はそう言って解散した。


***

悠真は帰りの道をたどりながら、なぜ自分は異性への関心がこんなにも低いのか考えていた。確かに自分は昔から女の子には対等に接していて、これといって好きな娘はいなかったから特別扱いするような事はなかった。そういえばよくおやっさんから指摘されてたなあ、「お前はまだピュアな青二才だ」って……そう考えているうちに彼は、ザイオンに到着した。もうとっくに日は傾いていた。

「ただいま戻りました……」

悠真は半ば沈んだ表情でそう言ってドアを開けた。


(続く)

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