02-13 決断

「見られたからには、生かしちゃおけねえなあ……」

ポム太郎はカチ、カチと小さな爪を鳴らしながらそう言うと、みるみるうちにクリーチャーじみたおぞましい姿に変わった。

「出てこいよ……腰抜け……そこにいるのはわかってるんだよお……」

片方の腕を上げながら、ポム太郎がそう煽ると、どこかから声が聞こえた。

「腰抜け……?……マルウェアの分際で人に向かってそれは言い過ぎだと思うな……」

「え……? 」

ポム太郎がどこにいるのかと周りを見渡したその時、彼の後頭部に強い衝撃が走り、そのまま吹っ飛んだ。

「なっ……」

頭をさすりながら立ち上がったポム太郎は前を見て驚いた。そこに立っていたのは銀色のアーマーに身を包んだ戦士だった。

「誰だ……貴様」

ポム太郎の質問に対し、彼はこう答えた。

「俺は……サイブレイバー シリウス……セキュリティを守る戦士だ」


***



「サイブレイバー……だと……ふん……おもしろい」

ポム太郎は、そう鼻を鳴らすと、爪を立てて襲いかかった。シリウスは武器である槍型デバイスを構え、その攻撃を防いだ。負けじとポム太郎もパンチを繰り出したが、それもシリウスはたやすく防いだ。それからずっと、攻撃と防御の応酬が続いた。


***


了は少し苛立っていた。あいつ、なんでとどめをささないんだ。彼が直接それをシリウスに言おうとした時、彼がこちらに向かってこう声をかけた。

「伊能さん……こいつをデリートしていいか……これは君が決める事だ……」

「え……」

沙耶がそう言うと、ポム太郎がの声でこう言ってきた。

「消えるの怖いよお……」

「……」

彼女は俯いてしばしの間考え込んだ。そして心を決めたのか、前をまっすぐ向いてこう言った。

「シリウス……いいよ……消して……」

それを聞いたシリウスは、無言で頷いた後、飛び蹴りを相手に食らわせた。

「本当にいいのか……? 沙耶……」

了の問いかけに対して沙耶はこう言った。

「私ね……知ってたんだ……了くんが嘘ついてた事」

「……」

「最初は信じてたんだけど……了くんが何も言わずに招待メッセージ送ってくるはずないって……そう薄々思うようになったの……」

「ごめん……」

「謝らなくていいよ……スマホの異変に気付いて

くれたんだし……むしろ感謝してる」

「沙耶……」

彼は優しく彼女を抱きしめた。


***



恋人達がいちゃついている数分の間にもシリウスはポム太郎への攻撃を続けていた。ポム太郎はよろめきながらも攻撃に耐えていた。

「よし……そろそろ……」

彼はタイミングを見計らって、必殺技の構えに入った。

「伊能さん、こいつに最期に言っておきたい事はある? 」

構えを崩さず、シリウスはこう言った。沙耶は、了に抱かれたままポム太郎に向かってこう言った。

「ポム太郎……しばらくの間……楽しい時間をありがとう……」

彼女の言葉を聞き届けた後、シリウスは飛び上がって武器を構えた。

「くらえっ!ブレイランスマッシュ! 」

輝く槍の斬撃がポム太郎の身体を貫くと、そのまま断末魔と共に消滅した。


(続く)

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