02-11 ダイヴ


スパイウェアー

それはその名の通り、こっそりと相手の個人情報を勝手に盗むソフトウェアのことである。

「君の場合は<キーロガー>……スマホ内の閲覧データやメッセージ履歴が盗みだすやつだ……」

剛は二人を地下の研究所に通しながらそう言った。

「そうなんですか……で……どうすれば退治できるんですか? 」

恐々とそう聞いた沙耶に彼はこう答えた。

「それを今からやるんだ……ちょっと待ってくれ……ハル、準備はできてるか? 」

すると、正面のモニター画面がつき、ハルが現れこう答えた。

「はいなのです!」

「なにこれ……」

「……」

それを見て固まっている了と沙耶に悠真はこう言った。

「そんなに驚くのも無理がないな……こういうのはあまり見ないからな……」


***

部屋の中心に置かれたコンピューターの筺体から伸びる白いケーブルには、沙耶のスマホが繋がれていた。

それを彼女は不安そうに見つめている。

「これで大丈夫なのかな……」

そう呟いていると右側からこう声がした。

「大丈夫だよ……」

驚いてそっちを見ると、悠真が灰色の全身スーツを着て立っていた。

「え……」

彼は、沙耶に目配せをすると、部屋の隅にあるカプセルに入っていった。ドアが閉まった後、彼女は剛にこう聞いた。

「今から……なにするんですか……」

すると、彼はコンソールをいじりながらこう答えた。

「決まってるじゃないか……今からそれを退治するんだよ……が」

って……」

沙耶がそう言うと、剛はカプセルを無言で指差した。

「え……小寺くんが」

彼女がそう呟いたその瞬間、ハルがセットアップの準備が完了したと剛に報告した。

「よし、オッケー……早速セットアップしてくれ」

「了解です……CBI、セットアップ開始! 」


***


悠真は、カプセルの中で、フィールドが生成され終わるのを待っていた。その顔の上にはHMDがかけられている。これを使ってサイバー空間上に再現された自分の脳と生身の脳をリンクさせるのだ。悠真が自分の胸の上に両手を置いて、精神統一をしているとHMDに内蔵されているスピーカーからハルの声が聞こえた。

「フィールド生成確認! ダイヴ開始!」

いよいよだな。そう思いながら悠真はそっと目を閉じた。


***


悠真が光の中で目を開けると、そこはカラフルな光が明滅しているトンネルのような空間の中だった。彼はその中をすべるように進んでいる。悠真は体勢を整えると、左腕を突き上げこう言った。

「スクリプター、セットアップ! 」

そうすると、左腕に装着されているブレスレット状のデバイスが光り、彼の全身を円筒状の光が包み込んだ。悠真はそのままの状態で、トンネル空間を進んだ。そしてしばらくすると、トンネルは終わり、その体は白い空間の中へと飛び出した。


***


沙耶と了は画面の中に現れたものを呆然と見つめていた。それは銀色のアーマーを纏った戦士だった。彼は、前に進んだ後、こう言った。

「ダイヴ完了」


(続く)

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