書簡
言葉を書き記す。最初はただの余興、回顧録のつもりだった。言葉で、過ぎた過去を、事実を振り返りながら無造作に書いて。ごく当たり前のこと、ごく当たり前の事実、それだけのはずなのに、不思議と忘れていたことまで思い出して。通り過ぎた風景、誰かの横顔、時には流血もあった。まるで喜劇のように繰り返す、それが歴史なのだ。
愚かな――とも思うが、悪くもなかった。
君を拾った過去にまで行き着いて。
君を失ってから気付く。700年ほどたっているのに。忘れていた。君の言葉も、君といた喜びすらも。
言葉で書き記しながら、君の欠片を探す旅に出るのも、今なら悪くない。
今さらだけど、千年魔女は君に恋をしていたのだよ。
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第64回Twitter300字SS参加作品
テーマ「書く」でした。
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