雨フラシ
「放っておいて」
絞り出すような声で、彼女は言う。雨が打ち付ける中、傘もささず立ち尽くす。
親友と彼女は別れた。そりゃ男と女だ。僕の分からない事も色々あったと思うし、映画のようにハッピーエンドにはならない。それに僕には何もできない。
せめて傘をさせたらと思うのだが、僕は傘をもつこともかなわない。
初恋の君よ。僕は先に旅立ったが、未だ君に縛られてこの世から旅立てない。その手に触れて、君を慰められたらいいのに、僕にできることは雨を降らすことぐらいで。
こんなに近くにいるし、昔から想いも変わらないのに。
ねぇ君。
雨で涙をそそぐくらいしかできないけれど――君が幸せになるその日まで、傍にいさせて?
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第51回Twitter300字SS参加作品。
テーマ「涙」でした。
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