Hello,good by
こんなにすり減らして、動いたところで何もできない、変わらない。足を引きずる。仕方ないじゃないか、そう言い聞かせて。
帰って、ご飯を食べて、そして眠るだけ。コンビニが、冷蔵庫がわりだ。今日もビールとつまみを買って――。
「先生、遅かったねー?」
かちゃん。缶ビールが落ちる。煮物の匂いが充満して。目をこすると、そこには誰もいなかった。
生徒が土砂災害で流された。遺体は見つからず。
近所の人とスコップを振って、泥に足を取られて、帰って眠るだけ。そんな毎日をくり返していたのに――。
食欲をそそる匂いに誘われて、涙が出る。
土砂の中で――今日、君を見つけたのは偶然じゃない。
________________
第54回Twitter300字SS参加作品。
テーマは「帰る」でした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます