夢だけでも見させて
ラボの中が、クリスマスムードなのを見やりながら、僕は白けてしまう。
ここは実験の結果が全てで。
くだらない――と吐き捨てた、その足が止まった。
あの子が、ツリーを見上げていて。
彼女の両親は研究者だ。両親にとっては、娘という認識よりもサンプル対象で。
可哀想に、と思うけど同情はしない。僕は、我関せず通り過ぎた。
「何が我関せずよ。特化型サンプルへのアクセスコードは難しいって――」
「姉さん、ちょと静かに」
彼女は、今年こそ両親がプレゼントを置いてくれると信じてやまない。僕らだって、それぐらい夢を見たっていいはずだ。
バカだな、って思うけど。それでも――。
「メリークリスマス」
僕は君に囁いた。
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twitter300字SS参加作品。
第38回のお題は「贈り物」でした。
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