第47-1話 夢見の巫女 十六夜(前編)
朱色の柱が特徴である
「雄也様ご一行様ですね。お待ちしておりました。案内役を任されました、
リンクよりも背の低い浴衣のような衣装を着た女の子が目の前に現れ、ぺこりと頭を下げる。
「初めまして、
代表して雄也が挨拶をした。
「なんか、小さなレイアみたいだね」
リンクが小声でレイアに囁く。
「お嬢様、それはどういう意味ですか?」
「しっかりしてるって意味だよ」
「皆様こちらです! 中は広いので、付いて来ていただかないと迷います故、気をつけて下さい」
長い長い回廊を抜け、ようやく奥の巫女が居るという部屋へ辿り着く。本当に広いお屋敷だった。途中食事をするであろう広い部屋や、狐の顔をした女性が踊っている部屋もあった。あ、それから、謎の白い蛇が空中をゆっくり舞っている部屋もあったのだが、そこは見て見ぬフリをした。
「
『ありがとう、入って下さい』
部屋の奥から声がして、中に入る一行。部屋の奥に薄い布で覆われた空間があり、巫女らしき者が座っていた。
「あなたが、
リンクが尋ねる。
「ええ、そうです。皆様には隠す必要もありませんね。私が此処、
「え? そうなんですか? お母様も貴女の事は知っているようでしたが驚きです」
――ええ? お茶会? 巫女同士のお茶会ってどんなものなんだ?
と思わず突っ込みを入れたくなる雄也。リンクも驚いている様子だ。
そして、
「え? ど、どういう事ですか?」
「夢見の
「本当に
人間三人が同時に驚く。そこに座っていたのは、長い黒髪で着物姿の女性……いや、女の子であった。
★★★
長い黒髪の頭には金色に輝く髪飾り、どうなっているのか髪の後ろが八の字結びになっている。大きな黒色の瞳。淡紫色の着物は白い衿と金色の帯、格好は巫女である事を彷彿とさせる。声もしっかりとした口調で大人びた優しい印象の声だった……のだが、そこに佇む顔は、リンクやパンジーよりも若いのではないかと思わせる、童顔の顔であった。
「そ、そんな……夢見の巫女がこんなに若かっただなんて……なんかショックだわ」
ウインクが代表して感想を述べてくれた。
「あら、私は此処に居る誰よりも歳上ですよ?」
ウインクの発言に、笑顔で返す十六夜。
「え? マジですか?」
思わず荒い口調になってしまった雄也。あ、と思った時には遅い。
「はい、マジです」
優しくそのままの言葉で返してくれた夢見の
「こちらの
レイアが補足してくれた。と、という事はだよ。此処におわす方は
――そして、幼女……いやいやいや、千歳の幼女ってなんだよ。あれだね、
「うーん、ロリだけどロリではない……奥が深いですなぁ……」
優斗が感心して頷く。まだまだ
「
和馬が疑問に思ったようだ。
「私は自ら滅多に戦う事はありません。私は万物を正しき方向に導く役を担っている。ただし、私の力は『視る』事に特化しています。ですから、監視となるのです。実際に動いているのは私の下に仕えている
様々な文化が入り混じった街と感じたのはそのためだろう。食べ物も人間界のそれとほぼ変わらなかったし。雄也がそう思っていると……。
「食べ物は同じ材料がない場合もあるので、再現するのが大変なんですよ? あ、雄也さん、リュックの中にあるケーキを一つ、私にいただけますか?」
――待って! 待って! 今俺何も言ってないよ? エレナ王妃と同じ現象だね。心読んでます? 十六夜さん……。
十六夜を見ると、ニコっと笑っている。これはあれだ。エレナ王妃と同じ、
「ケーキですね、ちょっと待って下さい」
色々ありすぎて忘れていたが、ケーキあったんだったね。優斗の友人である、
「雄也さーーん! ケケケケケーキあるんですかーー! キラキラシャキーンですよー!」
リンクがシャキーンの上級版、キラキラシャキーンを発動していた。シャキーンもレベルアップするんだね。
「そうそう、すっかり忘れていたけど、リンクが前食べたい言ってたからさ、今回買って来てたんだよ。皆でわけよう」
「深刻な話ばかりすると暗くなりますから、ケーキを食べながら話しましょうか?」
こうして、夢見の
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