試す
ごつごつとした掌が、柄を掴む。
強く見えたその手はしかし、この堅固な岩の間から我を引き抜くことができなかった。
これで、良いのだろう。絶えた気配に息を吐く。
その昔、戦乱を鎮めた偉大なる王が祈りと共に地面に刺した剣。その剣を抜いた者には王と同じ力が宿るという噂を聞きつけ、この場所に来て剣を、我を抜こうとする戦士は多い。そんな力、我には無い。そっと、首を横に振る。あの戦いを制することができたのは、あいつの力。
このまま、ここで朽ち果てるのが、我の、そしてあいつの望み。どこまでも穏やかな気配をしっかりと確かめる。それで良いのだ。永遠を望む祈りを風の中に投げると、意識は再び眠りに落ちた。
Twitter300字ss お題『試す』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。