第71話 弓の魔王 アルバレスト 4


「トウヤ兄ぃ、今回はありがとね」

「感謝したいのはこっちだよ、みんなの元気な姿を見れたのはリヨナが旅に誘ってくれたおかげだもん」


 トウヤ達が話しているのはゲペルの街の入り口、門の前。行きは一カ月以上かかる旅立ったが、帰りはコシュタの能力のおかげですぐに戻ってこれた。そのためリヨナは予定より長い時間をカリニ村で過ごし、村の復興のため動いていた。それもカトル達がやってきて、ラピスが討伐したモンスターを買い取る事になったおかげで後は時間と、村人達の努力だけでなんとかなるだろうという所まで一気に進んだ。リヨナとしてはもっと協力したい所だったが、そもそもカリニ村に向かった目的が親への結婚の報告だ。その報告は村についた当日にすませているのでカリニ村がいったん落ち着いたタイミングでいったん帰る事にした。そうしないといつまでも気になって居続ける気がしているから。そしてトウヤもリヨナがゲペルの街に戻るのに付き合いここまで来ていた。門の向こうではリヨナの帰りを待っていたゲペルさんの姿がある。だから見送りはここまででいいだろう。


「それじゃそろそろ行くよ。ゲペルさんとお幸せに」

「またね、トウヤ兄い」


 リヨナと別れたトウヤはコロウ山ではなく、スピリットファームへ向かった。カリニ村の方はもう大丈夫なのだが、スクラフトの領地内で暴れているモンスターへの対応はまだ終わっていない。

 トロワやスクラフトの兵はヤスの謀反にたいする処理で忙しく、予定よりモンスターの処理に回す兵が足りなくなった。なのでトウヤ、ツチミカド、ラピス、それにシラユキとシンデレラの五人で不足部分を補う事になっているのだ。弓の魔王はもういないので、アルバレストの支配していた範囲に関していえばラピスが竜の姿で飛び回っても魔王がやってくることは無い。なので安心してラピスの背に乗って移動し、モンスターを討伐してまわるのだった。

 さて、アルバレストが死に彼の領地やモンスターがどうなったかと言うと、アルバレストが持っていたダンジョンは全てトウヤのモノとなり、ダンジョン内のモンスターに関してはトウヤの配下に生まれ変わっている。しかしダンジョン外のモンスターに関してはいまだにアルバレストの配下のままだ。なのでトウヤの指示でモンスターを大人しくさせる事は出来ないので一匹ずつ倒していくしかないのだ。時間が経てばダンジョン内のトウヤ配下のモンスター達を動かして、外のモンスターも倒して手下に加えていく事が出来るので、緊急性の高そうな強くて積極的に暴れているモンスターを優先的に片付けていく。

 この戦いはトウヤにとっても良い事だった。トウヤは魔王を一人倒し、そのダンジョンを全て奪ったので魔王ランクが一気に上がり、ランク11となっていたし、レベルも30を超えている。そうして得た能力を試していくのにも今回の事は丁度良かったのだ。しかもランクが上り得た能力の中には自分の能力の一部を変更する能力もあったので『身体強化』から心が侵食される効果を消したり『支配者』からモンスターが狂暴化する能力を消す事で今まで封印していたこの二つを思いっきり使えるようになったのだ。

 そうしたトウヤ達の活躍は空を飛び、次々と強力なモンスターを潰していく藍色の竜とその従者の噂となり、冒険者が酒の肴に、商人は商売相手との話のタネに、吟遊詩人の歌にと人の口から口に伝わっていき、救世竜ラピスの伝説に新たな一ページを刻んでいく事となる。


 ヤスの謀反は行動を起こそうとしたそのタイミングでトロワの兵とぶつかり、すぐさま終わる事となった。

 もともとトロワが弱ってやる気が無くなっているだろうと予想しての進軍だったので準備不足な部分があったのだ。

 しかもトロワの軍はモンスター討伐の準備をしていたのですぐに動けた上に、コシュタの能力で移動にも大幅に削減され、移動による疲労も少なかったのも事件解決を早める要因となっていた。

 こうしてヤスは捕らえられ、彼が統治を任されていた街や村々は他のトロワに従う貴族に少しずつ負担させる事となり、カリニ村はなんとカトルに任される事となった。ミリアの件が落ち着いたので、まずは一つの村から統治に関して学び、スクラフトの後継者として育成していくつもりのようだ。そのカトルの傍にはスターリンとソフィーが常に居てフォローをし、シヴァイは隠密として影からカトルを支えていく事になるのだが、それはまた別の話。


 カトル達に関わる出来事はこうして収束していった。そしてヤスの事件が終了した事でトロワ達に余裕が生まれ、トウヤ達が行っていたモンスター討伐をスクラフト軍が引き継ぎ、トウヤ達はコロウ山に戻れる事になった。もっとも、その頃には強力な魔物はほとんどトウヤ達が倒した後か、配下に加えダンジョン内に住まわせた後なので兵にやる事はほとんど残されていない。彼らが行ったのはトウヤ達が倒したモンスターを武器や防具、金に換える作業だった。そして出来た金の一部は報酬としてトウヤ達に渡され、後はスクラフト家の財産となり、モンスターに襲われ、被災した領民たちに配られていくのだった。




◇◇◇◇


 ココからはトウヤの能力メモとなります。今回増えた能力を全て作中で伝えられるかわからないのと、個人的に能力を覚えてられるかわからないので記録として一回ここにトウヤの能力を書いておこうというものです。気になった方だけ見てください。

 なお、ここに書かれている能力は作中の都合により一部能力に調整がかかる事もあり得ますのでご了承ください。

 二章まで読んでいただきありがとうございました。今後とも『気まぐれ魔王ロード』をよろしくお願いします。


全魔王共通能力

『ステータス確認』

『身体強化』

『支配者』

『マップ』


トウヤ能力まとめ


ランク0

『身体強化』……全能力を強化、色々な属性や状態異常に関する耐性も上がり、食事や睡眠をしなくても大丈夫になる。モンスターに対する恐怖心が無くなり、狂暴性が上り、他人を駒としか思わなくなり、自分が唯一の魔王になり世界を征服するなど心を変化させる効果もある。

『支配者』……無所属のモンスターに襲われなくなり、倒したモンスターを配下に加えられる。また周囲のモンスターを強化、狂暴化させる。支配者の効果を受けた配下がモンスターを倒してもレベルが上がるし、倒されたモンスターが配下に加わる。

『能力調整』……もっている能力のオン、オフを切り替える。オフの能力は効果を発揮せず、この能力を持つ者以外にはステータスを見られても認識されなくなる。自身にのみ有効

『フラグチェック』……現在発動中のイベントを見る事が出来る。

『キューブ』……指定した空間の通行可能、不可能を切り替える。


ランク1

『フラグチェック/フラグツリー』……次のイベントに行くために必要な行動や一個次のイベントが確認できる。

『アイテム作成』……手の中にあるアイテムを同価値の別のアイテムに変化させる。条件はトウヤが片手で持てること。トウヤの体のサイズより小さい大きさしか作れない。

『魔王玉』……魔王の身体能力一つを10上げるか、配下の魔族を造るか、配下の魔族やモンスターを強化や新たな能力を与える


ランク2

『キューブ/キャラクター指定』……キューブの対象を指定できる。その人物の攻撃もこの指定の範囲に入る。

『モンスター合成』……元となるモンスターにモンスターの核や別のモンスターを合成し、強化させる。合成させる時に合成前のモンスターから主になったモンスターの記憶と、あと一つだけ何か能力や特性を引き継ぐことができる、合成の結果がどんな姿でどんなモンスターになるかはわからない

『マップ』……現在位置から支配者の効果が及ぶ範囲の地形や、そこにいる人物が確認出来る。それと、自分が支配している領地の現状も確認できる


ランク3

『能力調整/ステータス偽装能力』……指定した能力の名前をステータスで表示している時、別の名前や能力に見せる。

『アイテム作成/ストック機能』……アイテム作成時に残ってしまったポイントをそのまま保存しておくことの出来る能力。別にアイテムを作成しなくてもただポイントに変換してしまうことも出来るし、アイテムをそのまま保存もできる。保存数は千個、ポイントは十万ポイントまで貯める事が出来る。


ランク4

『キューブ/サイズ調整』……キューブのサイズを1cmから10mまで自由に変更できる。

『フラグチェック/友情』……対象のトウヤへの友好度カウントが見れる。マイナス100からプラス100までの数値で表示。フラグの条件に友情~以上、以下が追加されるようになる。


ランク5

『身体強化2』……全能力75アップ

『ダンジョンコア』……一定以上の魔力のある場所に設置するとダンジョンを作り出す。


ランク6

『能力調整/魔法作製』……魔法を作り出す。魔法の威力によって消費する魔力量が変わってくる

『アイテム作成/能力強化』……作れるアイテムが等価からプラス5のアイテムまで作れるようになった。ただし最低でも1はポイントを消費する。0ポイント消費で5ポイントアイテム作成は不可能。


ランク7

『モンスター合成2』……引継ぎ能力が2つになった

『アイテム作成/ストック機能2』……ストック量が二千個、百万ポイントに変更された


ランク8

『キューブ/アイテム作成』『アイテム作成/キューブ』……アイテム作成とキューブの複合技、キューブ内に収まっているアイテムを変換する。キューブ内に収まる範囲のアイテムを作り出す


ランク9

『能力調整/能力修正』……能力の一部削除や変更が可能。能力を一ついじるのに魔王玉一つかダンジョンコア一つを消費する。同じ能力を再び変更する場合魔王玉やコアの消費はない。

『モンスター合成3』……合成後のモンスターの(炎、水など)属性を決められる。合成前のモンスターの持つ属性しか選べない。


ランク10

『身体強化3』……全能力100アップ

『ダンジョンコア』……二個目


ランク11

『フラグチェック/愛情』……トウヤに対する愛情が数値化される

『モンスター合成4』……モンスターの種族を決めれる(ゴースト、獣など) 元になったモンスターから選ぶ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る