魔導師は協力する

 


「ユータ、ミーア気をつけてこいつは魔族。私たちを悪魔城に閉じ込めた種族なの!」



 魔族って魔王の幹部みたいなやつか

 ゲームにはいなかった。

 でも強い魔力を感じる、コイツ、かなり強い


 しかも、シャルをあそこに閉じ込めたということは悪い種族なのか?



「まず俺たちはお前に危害を加えるつもりはない、そこにいるオークを倒しにきただけだ」


 コイツが戦いに来たと確定したわけではない、もちろん戦いは避けるべきだし、なにもする気がない人?を攻撃する趣味もない


「そうなんだ、ならばその気にさせるまでだ」



「血触手」



 ッチ、コイツ話すまでもなく攻撃してきやがった


 血の色をした直径60センチくらいの太さの触手が10本ほど3人に向けて飛んでくる



    「俺たちを囲め、100倍」


「ウォール」


 ドーム状の土壁が出現し、俺たちを囲み、守る。

 触手が壁にぶつかる音が聞こえるがそう簡単には壊れないだろう


「ミーア、シャル、あいつは相当強いが3人の力を合わせれば勝てない相手ではない、作戦は————」


「「わかった(の)」」



 ジュー、ジュー


「ユータさんなんか肉が焼ける音がしない?」


 まったく、ミーアはこんな時でも飯のことを考えているのか……いや、でも本当に音がしてるな


「たしかに、なんの音だろうか?」


「多分、あの触手でこの壁を溶かしてるの、音からするとあと10秒もないの」


「よし、急に突き破られて壁の中で戦うのは不利だ、ウォールを解除するぞ」



「ウォール解除!」



 壁が砂に変わり崩れて、敵の姿が見える



「やっと姿を現したね、待ちくたびれたよ、特にそこの魔力が特別強い子は悪魔族かな? おかしいな悪魔族は僕の先祖が封印したはずだけど」


 少なくとも、コイツは召喚の杖の存在を知らないようだ、悪魔族は別かもしれないが



「話してる暇はないぞ」


「100発」「バインドアロー」


 とりあえず様子見だ、これくらいでは倒せないと思うが少しでも動きを止められたらミーアとシャルが攻撃してくれる



「やっぱりユータ、君は特別なようだね

 一瞬でこんな大量の魔法を発動できるなんて」



 ダメだったか、魔族は1秒も動きを止めることなく口を開く




「なんで俺の名前を知ってるかは聞いとかないが、お前も十分特殊な存在だぞ」



「ああ僕だけ盗み聞きして君の名前を知ってるのも嫌だし僕の名前を教えておくよ、僕はシュラーク、覚えることのできる時間は十数分だけどね」



 名前が意外にもかっこいい

 俺がもう少しで死ぬと言いたいのか?



「100回、100倍」


「ファイアスピア」



 早速覚えたての新しい魔法で攻撃する、炎の槍の雨がシュラークに向かって飛んでいった


 100本の槍がシュラークに刺さる。やったか?


「いや、これくらいじゃ火傷だね」


 槍がポロポロと地面に落ちるがそのあとに現れたシュラークの姿はほとんど無傷といってもいいくらいだ


「次は僕の番かな」


「いけ! 血触手」


 触手が3人に分散して攻撃する


「みんな、避けろ!」


「黒壁」


「ファイアウォール」



 シャルは俺の「ウォール」のような黒い壁を出して、ミーアは新しく覚えたファイアウォールで触手を焦がし勢いを抑える


「よし! 2人共大丈夫だな」


 俺の方も避けないと


「囲め、100倍」 「ウォール」


 さっきも耐えられたし強度は大丈夫だろう



「逃げてばかりじゃ千日手になるよ

 ほら、攻めてきなよ」


 無防備な姿で煽ってくるが、これがチャンスだ


「じゃあお言葉に甘えて」


「1000倍」「暗黒空間」


 漆黒の立方体がシュラークを囲む、この魔法は立方体の中のものを全て消滅させる魔法だ


 ゲームではやはりというか立方体の体積は小さくそこまで強い魔法ではない


 消滅させる魔法だからな、さすがに倒せるだろう




「いやいや、まだまだ威力が足りないよ

 なんだ強い子を期待してたけどこの程度か、期待はずれだなぁ」



 闇が晴れた時に出てきたシュラークは無傷だった


 ここから予想できることはシュラークは魔法防御力である「精神力」が高い。

 それも異常な高さだ


 魔法しか使えない俺たちにとってはかなりキツイ相手だぞ



「ユータどうするの?」


「そうだよ、ユータさん他に手はないの」


 俺だけでもなんとかなるがそれはリスクが伴う

 それ以外はミーアの手を借りるしかないな


「ミーア、さっき言ってたあれを使うぞ」


「わかった、こっちは準備オッケー」




「あいつを囲め、1000倍」


「ウォール!」



 さっきよりも厚い壁がシュラークを囲む

 2回のウォールからコイツは魔法防御は極端に高いが、攻撃力はそこまで高くないと予想できる


 この壁を壊すには単純計算で10倍の時間がかかるはずだ



「ミーア、今だ!」


「了解!」「次元切断」



 ミーアの魔法は俺の1000倍の詠唱を使った土壁ごとシュラークを切断する


 この魔法は「空間魔法」だ。覚えてる者は10人もいないので魔族でも知ってる者は少ないだろう。だから油断が生まれる


 そして次元切断はその名の通り空間を切断する

 この魔法においては物理防御も魔法防御も無視して切断する


 土壁は切断面がプラスチックみたいになってる


 倒したかな

「ウォール解除」


 そこにはちょうど腰のところで真っ二つに切断されたシュラークがいた



「おーい、死んでるかー」


 ふざけて急に喧嘩をふっかけてきたやつに

 死んでるか確認をする


「いや、まだ生きてるよ、もうすぐ死ぬけどね」


 なんと、まだ生きてたか伊達に魔族やってないな。さすがの生命力だ



「じゃあお前が死ぬまで質問していいか、まずなんで俺たちがここにくるのを知ってたんだ?」



「僕の許可を取らずに質問するのかい? まあいいよ、僕はもう死んでしまうしね


 質問の答えはたまたまだよ、そこのオークの死体が必要だったんだ」



 死体を使って何かするのか? ゲームでは

 死霊術師がいたがそういう類の職業が魔族側にいるのか?



「質問に答えてくれるんだな、すっかり無視でもするかと思ったが

 次に魔族はなんで悪魔族を封印なんかしたんだ?」



「ああ、僕はもう死ぬし、君のことが気に入ったからね

 悪魔族を封印した理由だけど、言い伝えでは悪魔族は……」



 肝心なところで絶命してしまったか、少し無駄話しがあったのを反省する



「「死んだの?」」


「ああ死んだ、ほら、モンスターと同じように青い粒子になっていくだろ」


 青い粒子からはなにかがドロップした



「なんだこれは? ただの黒い石じゃないか」

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最弱魔導師は魔法語が話せるので最強です スティ @suthii

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