第341話ソフィー(観音)が読んだ綾子の事情 阿修羅は綾子を保護する

光は、少し考えて、ソフィーを見た。

ソフィーが頷いたので、話しはじめた。

「ねえ、ソフィー、このまま綾子ちゃんを自宅に帰すのは危険だと思う」

「おそらく、家に帰りたくないから、校門で待っていたんだと思う」


光の言葉で、綾子は肩を震わせる。


ソフィーは、難しい顔。

「ただ、一般のホテルに確保しようにも、そこのホテルに危険が及ぶ」

「変な呪術をかけられても、解くのが難しい」

「完全結界のできている家でないと」


光は、綾子に声をかけた。

「一旦、落ちつくまで、僕の家のアパートが空いているから、そこでいいかな」

綾子は、光の周りの巫女たちを見て、不安そうな顔。


春奈が声をかけた。

「大丈夫、生徒を保護するのは、教師の役割」

落ちついた声で、綾子も少し安心した顔。


由紀も綾子に声をかけた。

「私は八方除けの寒川様の巫女、どんな災害も邪念も、寄せ付けない」

「だから、安心して」


キャサリンは胸を張る。

「変な連中が来たら、切り倒すよ、私はアーサー王の聖剣エクスカリバーの巫女」

サラは綾子の手を握る。

「オリンポス12神、アルテミスの巫女です、神の弓が敵を倒すよ、安心して」

春麗は、綾子の肩をポンと叩く。

「私は九天玄女の巫女、剣も弓もカンフーも何でも自在」

「わが中国伝来の陰陽の術を、そんな風に使ってもらいたくないの」

「だから、私たちにまかせて」


最後に華奈が綾子の肩を抱いた。

「綾子ちゃん、さっきはキツイ事を言ってごめんね」

「綾子ちゃんの哀しい思いとか、不安は、この伊勢大神の御神鏡がすべてお見通しになられたの、だから心配はいらない」


ソフィーは、綾子の様子を「観音力」で、じっと観察していた。

「万が一、邪宗集団のスパイ、攪乱のための犠牲かもしれない」

と思ったためである。


しかし、どうやら、そうではない様子。

「あの儀式の成就までは・・・普通の女の子なんだ、巫女なみの教育を受け、呪力は持っているかも」

「・・・諏訪神?そんな雰囲気があるなあ・・・いつかは自分から言うのかな」

「それはともかく・・・ところが・・・綾子ちゃんの周り・・・親?とにかく、何等かの弱みを握られ、立川流の邪宗に取り込まれてしまった」

「その髑髏の儀式の、人身御供として、綾子ちゃんを差し出せと強要されて・・・」

「綾子ちゃんは、立川流の邪宗集団の幹部から、その儀式について聞かされ」

「その儀式の禍々しさを、感じ取った、とても嫌だと・・・」

「だから、必死に光君に助けを求めた」

「どこかで、光君の話が、その立川流の集団の中で、出たのかもしれない」

「倒すべき対象とかの話かな」

「綾子ちゃんは、まだ汚れてはいないし、邪法に染まってはいない」

「だから、汚れる前に、邪法に染まる前に、光君に飛び込んで救いを求めた」

「本来は敵とすべき相手の光君、つまり阿修羅だった」

「つまり、立川流の集団を裏切ってしまい、とても帰ることなどできないんだ」


そこまで観察が進むと、ソフィーの耳に、阿修羅の声が飛び込んで来た。

「心配ない、全ての悪意、悪行を阿修羅は感じ取ることができる」

「そして、それを滅ぼし、清浄な姿に戻すことができる」


ソフィーが頷くと、阿修羅の声が続いた。

「完全結界のバスが欲しい」

「まず、赤坂の大聖堂で、この子の浄化を行う」

「今はルシェールと由香利さんが、そこで、浄化の儀式の準備を整えている」


阿修羅は、一呼吸置いた。

「大聖堂までは、八部衆が完全警護」

「大聖堂の上空には、四天王、大聖堂の前には、金剛力士二体が、にらみを利かせている」

ソフィーの顔が、厳しく引き締まっている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます