第339話柏木綾子の待ち伏せ、一行は校長室に

音楽部での練習を終えた光たちの一行が下校のために、校門にさしかかると、柏木綾子が立っている。


光が通り過ぎようとすると、柏木綾子が再び、頭を下げ、声をかけてきた。

「光さん、しつこくて、ごめんなさい」

「お願いです、助けてください」

柏木綾子は、涙ぐんでいる。


光は、柏木綾子をじっと見る。

「何か、あったの?」

「何か困ること?」


その言葉と同時に、柏木綾子の目から、大粒の涙。

そして、光に向かって手を伸ばそうとする。


華奈がサッと動いた。

「綾子ちゃん、ちょっと待って!何をするつもり?」

華奈は光と柏木綾子の間に立った。

柏木綾子から、光を守ろうとするような動き。

他の巫女も、表情を厳しくして、様子をうかがっている。


光が口を開いた。

「いいよ、華奈ちゃん、少しどいて」

「ここまでの涙は、普通のことではない」

「本当に困ること、不安なことがあるのだと思うよ」

いつものハンナリ声ではない。

落ちついて、相手を思いやるような話し方になっている。


春奈がソフィーの顔を見た。

ソフィーも頷いたので、春奈が口を開いた。

「綾子ちゃん。こんな場所では人目につくから」

「どこか、場所を変えて、お話しようか」


柏木綾子は、ホッとした顔。

「春奈先生、ありがとうございます」


ソフィーも柏木綾子に声をかけた。

「おそらく、人の目が多い所とか、聞かれては困る内容なのかな」


柏木綾子は、ソフィーの言葉で、また目に涙をため、下を向く。


光がソフィーに声をかけた。

「ねえ、ソフィー、急で悪いけれど、部屋を確保して欲しい」

「結界が結べるところ」


そこまで話が進んだ段階で、校長が後ろから歩いて来た。

校長は全員に声をかけた。

「それなら、私の部屋を使ってください」

「生徒の涙を見過ごすわけには、いきません」


光が代表して、校長に頭を下げ、光たちの一行と柏木綾子は、校長室に入った。


全員が、ソファに座った時点で、校長が静かに口を開いた。

「まずは、柏木君、どういう状況なのかな」

「光君に突然、声をかけ」

「また帰りに校門で待ってまで、再び声をかける」

「その言葉としては、助けてください」

校長は、ここまで話し、柏木綾子の顔をじっと見る。


柏木綾子は、顔が赤くなったり、青くなったりを繰り返す。


校長は、静かな声で

「言いづらいことなのかな」


柏木綾子は、ビクッとした顔。


校長は、さらに静かな声。

声を低くした。

「特に、男性に対してなのかな?」


柏木綾子は、顔を真っ赤にして、その手を握りしめている。

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