第325話炸裂!吽形の右ストレート そしてブラジリアン柔術総監督は光を相手に指名する

吽形も阿形と同じ、審判の「はじめ!」の号令がかけられても、構えを全くとらない。

腕を組んで、立っているだけである。


相手のブラジリアン柔術の選手も、今までの選手のようなタックルには慎重だった。

そして考えた。

「全員が、タックルと同時に、やられている」

「となると、タックル対策を考えているのかもしれない」

「打撃で攻めよう、かなり頑固な身体の相手だとは思うけれど」

「まず、下半身をローキック、その後はハイキックでとどめを刺す」


「ビシッ!」

ブラジリアン柔術の右ローキックが吽形の左ふくらはぎを襲った。

スピード、角度ともに、かなりな強力な打撃である。


「グワッ!」

しかし、その後、顔をしかめたのは、ブラジリアン柔術の選手。

「岩か!こいつは・・・」

「こんな足を蹴り続けていれば、こっちの足がダメになる」


「となると頭か」

ブラジリアン柔術の選手は、次にハイキック、吽形の頭部に向けて蹴りを放つ。


「ビシッ!」

今回も、ものの見事に吽形の右耳に、蹴りが決まった。


「痛い!」

しかし、次に聞こえて来たのは、ブラジリアン柔術の選手の悲鳴。

ハイキックを蹴った左脚を抑えて、苦しんでいる。


光が、ため息をついた。

「ほんと、阿形もそうだけど、吽形も岩なんだ、身体がね」

「それも、割れない岩で、関節もメチャクチャに柔らかい」



斎藤は、驚くばかり。

「相手の選手の二発の蹴りは、威力がすごいと思うけれど」

「こっちは、痛がることもなにもなく、立ち姿勢が何も変わらない」


ブラジリアン柔術の選手が、再び構えを取った瞬間だった。

吽形の右ストレートが、ブラジリアン柔術の選手のあごを捉えた。


「ドスーン!」

ブラジリアン柔術の選手が、立ち合い試合場の天井近くまで、浮かび上がり、そして地面に叩き落された。

そして吽形の両足が、倒れてしまったブラジリアン柔術の選手をグッと踏みつけている。


「一本!」

審判により吽形の勝利が告げられた。


吽形が光たちのところに戻ると、坂口が、ブラジリアン柔術の総監督に声をかけた。


「このまま続けますか?」

「負けを認めないブラジリアン柔術総監督」

「誰がどう見ても、戦いが終わって戦闘不能の状態になったのは、あなた方です」「それに、爆弾カプセルの問題、既に警察庁本庁が、あなた方を捕縛するために、この会場に入っています」

「それから、この問題は、我が国の官邸、そして今回来られた選手の大使館にも連絡済み、国際警察機関も動き出していますよ」

「それと、今まで、各道場に売りつけた得体の知れない毒薬の成分も、全て解明できました」


ブラジリアン柔術の総監督は、肩をすくめた。

ヘラヘラと笑い、首を横に振る。

カタコトの日本語で、早口でまくし立てる。

「ダレカニシクマレタ、ワタシはシラナイ」

そして、光を指さした。

「サッサトツギノシアイシマショウ、ヤットホンキニナリマス」

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