第323話キャサリンの拷問技は相手を失神させるけれど・・・

審判の「はじめ!」の号令とともに、ブラジリアン柔術の選手がキャサリンに突進、タックルをしかけた。

キャサリンは、宙を飛ぶこともなく、身体を開いてかわすこともない。


「パシン!」


キャサリンの右手が、ブラジリアン柔術の選手の左ほほを襲った。

乾いた張り手の音が、試合会場に響く。

その一発で、ブラジリアン柔術の選手の腰が抜けた。

ヘナヘナと崩れ落ちようとする。

しかし、キャサリンは、それを許さなかった。

さっとブラジリアン柔術の選手の、頭を抱え締め上げる。


坂口がうなった。

「しっかり頬骨のツボに入っているから、相手は痛みで何もできない」

「首を絞めているわけではないので、反則には取られない」

「ブラジリアン柔術は、平気で反則をしかけてくるけれど・・・」


斎藤が不安そうな顔。

「絶対に、ギブアップをしないのが、ブラジリアン柔術の伝統と聞いたんですが」


光は、首を横に振る。

「でも、決着ついたよ、ああなれば伝統も何もない」


光の言葉通り、キャサリンが腕の力を弱めると同時に、ブラジリアン柔術の選手は、口から泡を吹いて失神、崩れ落ちた。


審判が「一本」を宣告するけれど、またブラジリアン柔術の総監督が抗議。


ソフィーがその抗議の言葉を翻訳。

「ギブアップをしていないから、負けではないって言い張っている」

そして笑った。

「まあ、すごいプライドというか、負け惜しみも、ここまで来ると」


キャサリンが戻って来た。

「痛みは与えたけれど、わかるかなあ」

サラも呆れている。

「どうしてかなあ、明らかに負けなのにね」

春麗は、怒っている。

「あんなネチネチとした格闘技って、道場だけでしか使えないの」

「実際の戦場では役に立たない、戦場で役に立たない格闘技って何の意味があるの?」


そんな状態で、女子選手の戦いは、終わった。

次から、男子選手の対戦となる。

一番手は、金剛力士の阿形。


阿形の巨体が、立ち合い試合場の中央に立った。

ブラジリアン柔術の選手も、かなりな巨体。

しかし、阿形のゴツイ身体と異なり、相当柔軟なようだ。


斎藤がつぶやいた。

「とにかく速くて柔らかいタイプ」

「関節を極めるのも速いし、力も強い」

「光君が連れて来た選手はよく知らないけれど・・・大丈夫かなあ」

「身体が固そうだし、タックルされて、そのまま関節を極められそう」


斎藤の少し心配な顔を見て、坂口が笑った。

「斎藤、心配はいらない」

「あの巨体二人にかなう人間はいない」

「まあ、光君でも、苦労するかなあ」


斎藤は驚いた。

「坂口先生・・・何を言っているんですか?」

「全く意味がわかりません」


華奈は阿形の表情に注目。

「阿形さん、怒っている」

「なんか、ヤバそう・・・」

華奈の身体が震えだしている。

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