第320話立ち合い開始直前

光の一行は、立ち合い会場に入った。

昨日、春奈とソフィーに治療を受けた斎藤が歩いて来た。

斎藤は、春奈とソフィーに深く頭を下げる。

「信じられないけれど、治ってしまいました」


春奈は少し笑う。

「いいよ、斎藤君、そんなに何度も頭を下げなくても」


ソフィーも笑って

「それより、彼らは来ている?」


斎藤は頷いた。

「はい、女子選手が3人、男子選手が二人、それから総監督の男性が一人」

「おそらく、その総監督が実は、一番強いかと」

「僕も彼にやられました」


光が巫女たちに説明をする。

「一番手が春麗、二番手がサラ、三番手がキャサリン、全て女子選手との立ち合い」

次に、人間に変化した金剛力士二体に声をかけた。

「阿形が男子選手の一番手でいいかな、そうなると吽形が二番手」


阿形は頷く。

「どっちでも同じだ、倒して踏みつけるだけだ」

吽形が珍しく声を出す。

「こちらが人間の力で倒されることはない」


光は頷き、戦闘に参加しない巫女たちに声をかけた。

「あいつらが逃げ出さないように、結界を頼みます」


楓が光に声をかけた。

「ねえ、光君、この薬はどうするの?」

楓の手の中には、薬壺がある。


光はニコッと笑う。

「うん、それは最後の締めに使うよ」

「楓ちゃん、ありがとう」

楓は、久しぶりに光の笑顔を見て、真っ赤になっている。



光たちが、そんな話をしていると、ブラジリアン柔術の選手たちが控え室から出てきた。

斎藤の言葉通り、女子選手が三人、男性選手が二人、そしてかなり高身長の男性、これが、おそらく最強の総監督と思われる。



「それでは、今回の立ち合いについて、説明をいたします」

坂口が、立ち合い試合場の中央に立ち、話しはじめた。


「今回は、かのブラジルから、柔術の道場を開いている方々から、この私に試合形式での練習の申し込みがあった」

「当方からの選手については、自由に決めてくれということ」

「尚、ブラジリアン柔術の道場としては、最強の選手を出すということ」

「それで、私もこのブラジリアン柔術のことを、調べさせていただいた」

「確かに最強の選手と思われる、ここ日本の各道場、それも実力に高い各道場に出向かれ、負けなしの圧倒的な実力を示されている」

「そこで、当方としても、最強の選手を選出しなければならない」

「そして今回、私がお願いしたのは、柔道選手ではない」

「しかし、その実力は、ここの道場に属する斎藤よりも、格が数段上の光君と、光君が選んだ選手たち」

「すでに築地本願寺での戦い等により、その実力は格闘界では、誰一人疑う者はいない」


坂口の話が続く中、光は目を輝かせ、ブラジリアン柔術の選手を一人一人観察している。


そしてつぶやいた。

「彼らの柔術は、たいしたことはない」

「それよりも・・・」

「あの帯の中に、危ないものが・・・」

光の目の輝きは、増すばかりになっている。

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