第318話蜘蛛には蜘蛛?光の戦略

ブラジリアン柔術との立ち合いの日となった。

光の家の前には、ソフィーが手配したワンボックス車が停まっている。


光がワンボックス車に乗り込むと、すでに人間に変化した金剛力士二体が座っている。

グレーのスウェットスーツに、スニーカー、上にはスタジャンを羽織り、頭には紺毛糸の帽子をかぶっている。


光は、その姿を見て、プッと笑う。

ただ、言葉は出さない、笑うだけ。


阿形が光に文句。

「ハゲとか思っているだろう・・・全く・・・」

吽形は、気に入らなくて仕方がないので、光を厳しく睨む。


光は結局、口を開いてしまった。

「だって、面白いもの」

「マジ、ゴツイ顔と身体でさ、ハゲ隠しに毛糸の帽子」

「そんな地味にしないでさ、スウェットも帽子も真っ赤ってどう?」


阿形はますます、気に入らない。

「あのな、好きでこんな顔とか身体ではないんだ」

「このほうが悪霊とか邪鬼が近寄れないから、こうしているんだ」

吽形は、その阿形の言葉で、ウンウンと頷いている。


光は、また阿形に声をかけた。

「殺さない程度にしてほしい」


阿形は、フッと笑う。

「汚い手を使ったら、関節外すかな」

「折ってもいいか?」

吽形は指の骨をバキバキと鳴らす。


光はようやく普通の顔に戻った。

「難しいのは、薬を飲んでいること」

「折れても向かって来る狂戦士に仕立てられている」

「だから、倒してからの戦略が必要となる」


ソフィーが割って入った。

「折れても外されても、絡みついているらしい」

「まるで蜘蛛とかタコ」


阿形が心配そうな顔。

「ところで楓ちゃんは、蜘蛛が苦手だ」

吽形は深く頷く。


春奈が阿形に尋ねた。

「よくお知りで・・・どうしてそこまで?」


阿形は、光をチラッと見て、

「光君への文句をよく言いに来るのさ、楓ちゃんね」

「ナマケモノとかひ弱とか、アホとか、無粋とか」

「その上、今回の戦いに、蜘蛛を使うなんて言い出してるって」

「私のことなんて、何にも考えていないって、泣きながら文句を言うんだ」

「俺も、可哀そうでねえ・・・」

楓とのやり取りを、白状する。


光は、苦笑い。

「うーん・・・でも、今回はそれが有効なんだ」

「蜘蛛には蜘蛛、奈良でのことを根に持っている」

「楓ちゃんには、また別のお礼をする」


華奈も話に加わった。

「そうなると食べるもの?」

「楓ちゃんは、食べるものへの注文は、すごいよ」


光は笑った。

「鉄板焼きで、楓ちゃんの前に、お肉を集中する」

そして、ソフィーを見た。

「蜘蛛・・・準備は?」


ソフィーは笑ってクールサインを出している。

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