第317話道場破りの背景に、利権の匂い

校長室での情報交換、打ち合わせも、ほぼ終了。

斎藤だけは、春奈とソフィーの治療を受けているけれど、光は教室に戻った。


自分の席につくと、さっそく由紀が話しかけてくる。

「ねえ、斎藤さんは何とかなりそう?」

光は頷いた。

「うん、薬師如来の治癒秘法を使っているから、午前中には回復するはず」

由紀は、不安気な顔。

「ブラジリアン柔術との対決が心配」

光は、少し笑う。

「大丈夫、心配いらない」

由紀は、真顔で光を見る。

「見に行ってもいいよね」

光は、少し考える。

「思いっきり、ぶっとばしてしまうけれど」

「そうなると手加減するかなあ」

由紀は首を横に振る。

「手加減しないでいい、私も気に入らないし」

やはり、由紀も巫女力で校長室での会話を読んでいたらしい。


ただ、学園内でのブラジリアン柔術関連の話は、そこまでだった。

午前中、午後の授業も平穏に終わり、放課後の音楽部の演奏会の練習も、スムーズに終わった。


また、「試合日」までの日常も、全く平穏の状態。

とかく悪い噂の多いブラジリアン柔術の道場破りも、ソフィーが発案して全ての格闘技道場に注意文書を送ったため、全て「門前払い」の状態。


決戦前夜、ソフィーの報告があった。

「すでに彼らの国籍も調査済み」

「ブラジリアン柔術と言っても、ブラジル国籍だけではない」

「あちこちの国の兵隊を辞めた人たち」

「元オリンピックの柔道選手もいる」

「中に麻薬産業に深く絡んでいるメンバーがいる」

「それから胆石を発生させる薬は、彼らの中に中東かな、化学兵器工場に勤めていたメンバーが主導している、かなりな高学歴らしい」


光は平静な顔。

「まあ、戦闘力でこちらが負けることはない」

「それは心配いらない」

「それは・・・心配いらないんだけど・・・」

光の顔は、平静な顔から、厳しい顔に変化した。


これにはソフィーをはじめとして、全ての巫女の顔も厳しくなる。


光の目が、鋭く輝いた。

「ここまで、道場破りが続いて」

「道場は名誉があるから、被害報告はしないかな」

「でも、怪しい薬の報告が、大事になっていない」

「マスコミ報道もない」

「・・・となると・・・裏に何かがある」


ソフィーは、その光に反応。

「どこかからの圧力かな」

「となると、予想されるのは、製薬会社、厚生労働省、医師会」


ソフィーは腕を組んだ。

「どこも、利権が絡みあっているねえ・・・」

「製薬会社は健康な格闘選手に怪しい薬を飲ませ、データを収集」

「そんな非道なことをすることのないようにと、本来は監視するべき厚生労働省には、道場破りでせしめた金を使ってバックマージン」

「もちろん、治療した医師にもバックマージン、医師会にも金を渡してあるから、誰も告発をしない」

「厚生労働省だって、裏金は手に入るし、そもそも襲われた道場が、名誉を恐れて被害報告をしない」


光がソフィーに声をかけた。

「官邸にも報告しておいて、それから、忙しいけれど内偵を」


ソフィーは光の言葉と同時に、背中に羽が生え、姿を消している。


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