第313話翌朝の登校、そして異変の兆し

翌朝になった。

光も他の巫女も全員、普段と同じ。

春奈だけが、寝不足気味。

しかし春奈は、「どうして眠れなかったのか」など、言えるわけがない。

朝食時でも、そんな話題には、全然なる気配はない。

普通に会話して、普通に朝食を終え、それぞれが通学の途につく。


それでもソフィーが春奈の脇をつつく。

「大変だったね、仕方ないよ」

春奈は下を向く。

「うん・・・母に怒られちゃった・・・光君に悪いことしちゃった」


ソフィーも、真面目顔。

「美智子さんの言うことが、正解」

「私たちも、反省しないとね」

「光君って、やさしいから文句を言いやすい」


春奈は、他の巫女の顔を見た。

「みんな神妙な顔してる」


ソフィーは、真面目顔のまま。

「あのお叱りは、みんな聞いていた」

「春奈さんだけじゃないの、全員の候補者巫女へのお叱りなの」

「光君が欲しいだけで、光君の気持ちを何も考えていなかった」


華奈が光の横に歩いている。

「ねえ、光さん、今日は練習だね」

光は、頷いて

「そうだね、運命を中心に」

「リズムを大切に、音の粒を揃える練習」

華奈は頷く。

「がんばる、飛び出たりしないように」

光は、少し笑う。

「大丈夫、華奈ちゃん、上手になってきた」

華奈は、真っ赤な顔になっている。


今度は由紀。

「光君、ブラジリアン柔術とかの立ち合いって、いつ?」

「由香利さんも、ルシェールも見学したいって」

由香利とルシェールも、光の顔を見た。

「うん、坂口さんから連絡があるから、その日になるけれど・・・」

「おそらく、土曜日かなあ、午前中で終わる」


そして光は全員の顔を見まわす。

「奈良から楓ちゃんも来る、その日にね」

「一緒にランチしようよ」


キャサリンが手を挙げた。

「はい!日本の鉄板焼きに興味があります」

サラも、同調した。

「そうですねえ、お好み焼きも食べたいです」

春麗も異存はない。

「私、焼きそば得意です、是非是非・・・」


他の巫女からも反対の声はない。

光は、ニコッと笑う。

「支払いは、坂口さんだから」

「おそらく、量で勝負の店になるかも」


華奈もうれしくなった。

「楓ちゃんにピッタリ」

春奈も頷く。

「圭子さんのお叱りもなく、楓ちゃんは食べたいだけ食べる」

・・・・・


一行は、そんな盛り上がった状態で、学園に到着した。


「あれ?斎藤さん?」

光の視線の先に、去年卒業した柔道部の斎藤が立っている。

「どうして?」

光の顔が厳しく変化した。


華奈も声をあげた。

「斎藤さん・・・松葉杖・・・腕をつっている」


なんと、オリンピック柔道代表候補の斎藤が、松場杖、腕をつった姿で光たちを見ているのである。

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