第300話ルシェールと一つのベッドで

光が目覚めたのは、夜の8時、自室のベッドの上。

ルシェールの腕が自分の胸の上にかかっていることを確認。

そして、慌てた。

「ルシェール・・・あの・・・一緒に寝ちゃったの?」

「あのね、腕がね・・・」

シドロモドロになっている。


ルシェールは、そんなことを言われても、腕をどける気持ちはないようだ。

「全然、覚えていないの?光君」


光は、うろたえた。

「え・・・何?それ・・・何か・・・しちゃったの?」


ルシェールは、腕をかけるどころではない。

さらに密着した。

「ふーん・・・覚えていないんだ・・・」

その言葉の雰囲気が意味ありげ。


光は、シドロモドロから、硬直状態になってしまった。

もはや、声も何も出せる状態ではない。


ルシェールが、クスッと笑う。

「光君、力抜いて、私と一緒にベッドに入っているんだから」

「それじゃ、置石?」

「それとも、光君は、私の抱き枕なの?」

「・・・それもいいなあ、光君が抱き枕なら」

「ずーっと、なでなで・・・ずーっとね・・・」

実際に撫で始めるのだから、光はますます硬直。


この時点で、光はルシェールの「支配下、なすがまま」になってしまった。


ルシェールは、またブツブツと光を責めだした。

「由香利さんとね、呪法なんだけどね、一緒にお風呂に入ったの、光君がね」

「そして光君は、由香利さんの胸を見て、ほぼダウン」

「ちょっと呆れる・・・気に入らない・・・」

「私は見てもらってないしさ、お風呂に一緒に入ったことはあるけれど、それは子供の頃・・・」

「どうして、そう、奥手なの?ウブなの?」

「私も、おっとりしているけれど・・・」

「本気になったら、誰にも負けないんだよ」

「それ、わかっているよね・・・光君」


ルシェールの手のひらは、そんな「言葉責め」と連動して、光をなで続ける。

そのため、光は力を抜くどころではない。

ますますの、置石状態が続くことになる。


ルシェールの声が、少し、柔らかく変化した。


「でもね、私もうれしかったの」

「光君が、意識がなくなっちゃいそうになって」

「最後に、私の胸でダウンしてくれて」

「・・・いろんな、すっごい巫女さんがいるのに」

「私の胸を選んでくれて、うれしかったなあ」


「光君は、最後には、必ず、私のところに戻る」

「それは、子供の頃から、そうだもの」

ルシェールは、頬を光の頬につけた。


「可愛いよ、光君」

「大好きなの」

「ずっと、こうしてていい?」


光は、頷いた。

「うん、安心する」

「ルシェールの、心臓の音って、落ちつくの」

「子供の頃から、そうなの」

「理由はわからないけれど、落ちつく、大好き」


ルシェールは、光の頬に唇をつけた。

「光君、もう少し落ち着いたら、スープ温めなおすよ」

ルシェールは、少し涙ぐんでいる。

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