第285話由香利の舌が光の舌に絡む 大戦闘

由香利の舌が、光の唇をこじ開けた。

そのまま、光の舌に絡む。

光は硬直してしまうけれど、由香利の舌絡みつきは、しばらく続く。

そして、少しずつ、佃住吉神社の本殿の鏡が輝きを増しはじめている。


地蔵菩薩がつぶやいた。

「そろそろ、霊薬の効果が、水に現れます」

その言葉通りに、まず隅田川の水面に不思議な変化が発生し始めた。


赤黒い泡の下に、青白い泡。

青白い泡は、赤黒い泡と融合することはなく、むしろ赤黒い泡を分離、空に浮かび上がらせる。


空に浮かびだした赤黒い泡のさらに上空、八部衆の鳥神カルラはますます巨大化。

その鳥神カルラの上に乗るサカラ神も、巨大化し、不思議な呪文を唱え始めた。

青白い雨が降りだした。


ソフィー

「水面には、霊薬の青白い泡を浮かばせ、上空からはサカラ神の清浄雨を降らせる、邪念の力を弱め、消し去る効果」

キャサリン

「浮き上がったままの赤黒い泡、つまり悪霊に操られたままの哀念を、正義の力で浄霊、成仏あるいは天国にですね」

ソフィー

「晴海ふ頭で華奈ちゃんが持つ伊勢様の大鏡を通じて、救いの門が開かれる」

キャサリンは目を周囲に光らせた。

「あ!戦闘が始まったようです」


キャサリンの言葉通り、赤黒い泡に包まれた夥しい旧日本軍兵士と、様々な神軍のとの戦闘が始まった。


まず、平将門公の騎馬軍団と弓矢の威力が凄まじい。

縦横無尽に宙に浮かんだ戦場を駆け巡り、バタバタと旧日本軍の兵士の邪念

射倒していく。

「このたわけもの!子孫に仇を為して何とする!成敗してくれる!」

射倒される旧日本軍たちは、不思議に涙を浮かべている。

「申し訳ありません、将門公!ありがとうございます、これでやっと・・・父祖のいる浄土に・・・」

その言葉と同時に、赤黒い泡が青白い玉に変化、晴海ふ頭に向けて一気に飛んでいく。


関帝とその軍団の兵士もものすごい動き。

長剣を振りかざし、大軍勢の集団で赤黒い泡、旧日本軍兵士を押し包む。

「人の世の平安を乱すものは、何人たりとも許せない」

「それはわが中国の民であっても、この日本の国でも、変わらない」

彼らが持つ、その長剣にも霊力があるのか、赤黒い泡を青白い玉に変え、同じように晴海ふ頭に向けて、一気に飛んでいく。


次に目立つのは、金剛力士二体。

超巨大化した肉体で、赤黒い泡の旧日本軍兵士を、数十体ずつ「わしづかみ」、そのまま手のひらにて青白い玉に浄化、それを晴海ふ頭に大鏡に投げ込んでいる。

阿形は、面白そう。

「なかなか玉を投げるのも面白い、今度野球とやらにも取り組むか」

吽形は、黙々と作業を続けるのみ。


ポセイドン神も、豪快な動き。

超巨大な魚網で、赤黒い泡を目一杯にすくい上げ、それを三叉の鉾で突き刺す。

そして突き刺した瞬間、赤黒い泡は全て青白い玉に変化、そのまま晴海ふ頭の大鏡に向けて、一直線に飛んでいく。


媽祖様は、巨大な船を浮かべ、その船から同じような超巨大な魚網をたらし、赤黒い泡をすくい上げ、その魚網に向けて、独特の護符を投げつける。

投げつけた瞬間、赤黒い泡が全て青白い玉に変化、そのまま晴海ふ頭の大鏡に向けて、一直線に飛んでいく。


アルテミス女神の弓を持って戦っていたサラと九天玄女の鉾を持って戦っていた春麗は、途中から鳥神カルラの背中に乗り、キャサリンと合流。


サラ

「みんなすごすぎ、もう決着ついちゃう」

春麗

「それより、由香利さんと光君のほうが、あぶない」

キャサリン

「由香利さんは、いつまで光君の唇を奪うんだろう」

ソフィーは、怒っている。

「それは呪法と言ってもね・・・うーん・・・」


由香利の「接吻舌なめ呪文の秘法」は、続いている。

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