第277話決戦前夜

地蔵菩薩が異形全員に声をかけた。

「まずは、結界を張らなければなりません」

「その結界が無ければ、十分な戦闘もできなければ、悪霊退治もできません」

「その結界については、私が引き受けましょう」


阿修羅の顔が、厳しく変化した。

「その結界を東京湾と隅田川に張り終えた段階で、光君と由香利さんが、佃の住吉に出向く」


媽祖の顔も厳しい。

「そこでの祝詞が、戦闘の開始なのですね」


阿修羅が頷くと、ポセイドンも口を開いた。

「特製の水浄化の秘薬も、同時に流れ始め、水から悪霊が浮かび上がる」

「そして、それを叩く」


ソフィーは、大天使ガブリエルの姿に変化した。

「私とキャサリンは、上空で戦況を報告」

「阿修羅様と八部衆の神々、金剛力士二体、アルテミス女神、媽祖様、九天玄女様、関羽将軍とその軍が、浮かび上がった悪霊を叩く」


阿修羅がポセイドンの顔を見た。

「倒した悪霊は、そのままポセイドンの網の中に放り込む」

「そしてポセイドンの網の中で、聖なる槍に突き刺され、本来ならば、消滅となるのだが」

阿修羅は、ここまで話して、地蔵の顔を見た。


地蔵も頷いた。

「いかに悪霊化されたとはいえ、もともとは善の魂を持った人々の霊」

「そのまま地獄に堕としたままでは、救いがない」

「これについても、始末は、この地蔵にお任せください」


ソフィーが阿修羅に質問をする。

「癒し系の巫女さんたちは・・・」


阿修羅は、頷いた。

「悪霊がすでに体内に入ってしまった人間も多い」

「ただ、その悪霊も佃住吉からの秘薬が流れ始めると、人の身体には留まれない」

「難しいのは、悪霊が人から抜かれた段階で、その人は青息吐息で横たわるはず」

「それを癒し系の巫女が浄化、回復させる」

「呪法としては、聖なる鏡の呪法、伊勢大神様の呪法となる」


ソフィーは、少し不安。

「もしかして・・・華奈ちゃんですか?」


阿修羅は、その表情を変えない。

「大丈夫、華奈さんは、あれで土壇場には強い」

「薬師如来の巫女、八方除けの巫女、聖母マリアの巫女も、完璧にサポートができる」


地蔵がソフィーに声をかけた。

「大丈夫です、阿修羅の戦略の一環なのです」

地蔵も、落ち着き払っている。


媽祖が笑い始めた。

「ねえ、ソフィー、嫉妬しているの?」


ポセイドンは、少し相好を崩した。

「華奈ちゃんは、案外強いよ」

・・・

異形たちは、これからの戦略や、珍しい華奈についての話になっている。



さて、当の光は、完全熟睡状態。

由香利は、なかなか寝付けないので、呪文の練習をしている。


そして華奈も、あまり寝付けない。

「私が光さんと佃の住吉に行きたいなあ」

「そこで、光さんと、シットリするの」

「ギュッとしてもらって、私もギュッとして」

「その後は、隅田川沿いを散歩・・・お団子も食べたいなあ、夢だけど」


華奈は結局、ベッドから起き上がった。

そして、伊勢大神に祈り始めた。

「伊勢様、光さんを絶対に死なせないでください」

「・・・それから・・・私を光さんのお嫁さんにしてください」

「私、懸命にがんばります」

華奈は、最後に泣き出してしまった。



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